このページでは、経済指標の発表を利用して稼ぐ2つの方法を誰よりも分かりやすく解説しています。2つの方法とは「先回りしてエントリーする手法」と、「経済指標発表後にエントリーする手法」です。FXのファンダメンタルや経済指標を利用した、具体的なトレード手法を知りたい人は必読です。
先回りしてエントリーする手法
経済指標の発表の直後には大きな値動きが起きることが多いです。そのことには誰もが気づいていると思います。しかしその動き自体を取ろうとする人は、それほど多くないのではないでしょうか。テクニカルトレーダーの間では、「経済指標発表時はポジションを閉じておきましょう」「経済指標発表の直前にはエントリーしないようにしましょう」というのが通説だからです。
それらのアドバイスは、とてつもなく正しいです。純粋なテクニカルトレーダーは、是が非でもそうすべきです。
しかし、ファンダメンタルを理解し、経済指標を利用して稼ぐ手法でトレードしているのであれば、経済指標の発表はチャンスであり、経済指標発表による突発的な値動き自体を取ろうとすることに、何の問題もありません。
とはいえ、経済指標の結果を予測するのは難しく感じますし、大きく動く経済指標の前にエントリーするのは勇気がいることです。
難しさはあるものの、経済指標の発表に先回りしてエントリーすることには、以下のような利点があります。
- 利食いになるなら一瞬で利食いできる
- 損切りになるなら一瞬で損切になる
要するに、勝負が早いことです。
ウダウダした値動きにつかまってしまい、何時間もポジションを抱えたままヤキモキする必要が無いのです。
先回りエントリーの欠点は
まず、難易度が高いことです。
経済指標の結果を予測するのは簡単なことではありません。65%ぐらいの確率で予測できたら十分なのですが、それでも難しいことです。それには長年の経験が求められます。
次に、値が滑って大きなロスカットになるリスクがあることです。
もし自分の予測が間違っていて、反対にポジションを持っていて、急激な値動きが出てしまったら、予定していた価格ではロスカットできず、値が滑ってしまうことがあります。運が悪ければ、20pipsのロスカットを入れていたのに、50pipsのロスになってしまうことがあります。究極の状況に出会ってしまうと、150pipsぐらいのロスカットになってしまう場合も考えられます。
以上の理由から、経済指標の発表前にエントリーしようと言う人は少ないです。
しかし、ポジションサイズをコントロールしたり、うまくいったときに利益を伸ばすようなポジション管理をすることで、上記の問題点と上手く付き合い、経済指標時のトレードを専門に行っている専業トレーダーも存在します。
先回りエントリーでは、どのような経済指標を選んでトレードするのか?
先回りしてエントリーするタイプのトレードをする場合、まず大切なのが、どの経済指標をトレードするかを慎重に選択することです。
注意点は2つです。
- あまりに大きなボラティリティ―が出る経済指標は避けること
- 予測が極端に難しい経済指標も避けること
避ける経済指標は以下のようなものです。
- NFP
- 中央銀行の金利政策会合
- 予測値の無い経済指標
これらは、経済指標発表時のボラティリティ―が高過ぎたり、そもそも経済指標の予測値が無かったりするので、先回りエントリーの対象になりません。
経済指標をトレードする場合、単純に経済指標の数値の良い/悪いだけを見てトレードするわけではありません。予測値に対して結果がどうなりそうか?を考えてトレードします。ですから、予測値が発表されない経済指標は先回りエントリーの対象から外れるのです。
また、NFP(米国の雇用統計)のように極端なボラティリティ―が予測される経済指標は、ロスカット時のスリッページが怖いので避けています。そういった経済指標は、指標が発表された後、スプレッドが落ち着いてからエントリーする方がよいでしょう。
先回りエントリーの対象となる経済指標
一方、トレードできる経済指標は以下ようなものです。
- 小売業売上高
- CPI/PPI
- 雇用統計(米国以外の雇用統計)
日本とスイスの経済指標はあまりトレードしません。日本とスイスの経済指標はFXへの影響力が低いからです。日本円、スイスフランが絡む通貨ペアの値動きは、その相手通貨の要因で動くことの方が圧倒的に多いそうなので、世界的には、あまり注目されていないようです。
ある経済指標に予測値が出ていて、その予測が良い方に間違っていると予測するなら、経済指標の発表の15分程度前に買いエントリーしておきます。そしてロスカット20~30pips、ポジションの半分はロスカット幅と同じ値幅で指値利食い、もう半分は手動トレーリングストップで利益を伸ばす、という設定で見守ります。このような方法で、予測の精度が60%程度あれば、長期的には儲かります。
また、単純に15分程度前に先回りしてエントリーしておくのではなく、ローソク足チャートの読みを使って、あらかじめ思惑の方向にエントリーしておき、経済指標発表の直後までポジションを保持するのも良い方法です。
具体的にどうやる?
経済指標の結果を予測するには、先行指標を使います。先行指標と言っても、秘密の指標があるわけではなく、誰にでもFXカレンダーで無料で見れる情報です。
ターゲットとなる、主要な経済指標が発表される前に、それに関連する別の経済指標が発表されることが多いです。その関連する経済指標の結果を見て、ターゲットとなる経済指標の予測が外れそうか?外れるならどちらに外れるのか?を見極めます。
例えば、英国のRetail Sales(個人消費)という経済指標があり、毎月20日前後に発表されます。
Retail Salesの発表に先立ち、毎月10日前後に、「BRC Retail Sales Monitor」というよく似た、英国の個人消費に関連する経済指標が発表されます。
この指標を先行指標としてRetail Sales(個人消費)の予測値が間違っていそうか?を予測し、GBP/USDで先回りエントリーをするのです。
これは、英国のRetail Salesに限ったことではなく、ほとんどの主要な経済指標には関連する経済指標が少し前に発表されます。
長年みていると、これとこれが関連している、というのが分かってきます。もちろん、多少ファンダメンタルの知識は必要です。
ちょうど今朝はオーストラリアのRetail Sales(個人消費) の発表があったので仕掛けました。
Retail Sales とは、個人消費のことです。企業の消費ではなく、一般家庭の消費のことです。
画像は事後的にキャプチャしたものなので結果が出てしまっていますが、よーく見てください。
先月は0.6%で、今月は、少しだけ下がって0.4%になることが予測されていました。
しかし、ふたを開けてみると、予測よりもずっと悪い -0.1% となりました。
これぐらい予測と結果に開きがあると、「聞いてないよ!」というシチュエーションとなります。
オーストラリアの個人消費が予測よりも悪かったので、オージードル、オージー円などが突発的に下げることになりました。
この動きを予測するために、どんな先行指標があったのでしょうか。
オーストラリアのRetail Sales に先立ち、いくつかの個人消費関連の指標が発表されていました。
このように、先行指標として考えられる、個人消費関連のその他の経済指標が先月よりも大きく下げていました。自動車販売の指標と、住宅販売の指標です。
Retail Salesは、先月0.6%で、今月は0.4%と予測されていました。しかしその他の関連指標をみると、もう少し下げていてもいいのでは?と思ったのです。
このような予測をして、経済指標が発表されるよりも15分ぐらい前までにしかるべき方向にエントリーしておき、経済指標発表の瞬間の大きな値動きそのものを取ります。
今回の場合には、日本時間の早朝7時30分ぐらいにレジスタンスライン付近で大きなピンバーが出ていました。時間が早かったので、ピンバーの売りは逃していましたが、その後もう一度ピンバーの安値を試した後の小さめのピンバーで売りを仕掛けていました。
その後は、ファンダメンタルの読みがあるので、経済指標発表後の急激な下げが出るところまでポジションを保持することができました。
これが経済指標の先回りエントリーです。こういった方法でトレードしているFXトレーダーはけっこう多いのではないでしょうか。
難易度は高い手法ですが、勝負が速く、ずっと見ている必要もないのでストレスも少ない手法です。今回は他の理由で早めにエントリーしていましたが、指標発表の15分ぐらい前にショートしていたとしても、指標発表の直後に25pips程度の利食いができていたはずです。
私自信はテクニカル分析が持ち味のトレーダーですが、このファンダメンタル手法にも、枚数を減らして、宝くじを買うような気持で楽しみながら取り組んでいます。儲かっているかって?純粋にファンダメンタル分析だけを使ったトレードでは、経験がまだまだ足りないので、勝ったり負けたりで、ほんの少しだけプラスになっている程度です。
経済指標発表の後にエントリーする手法
経済指標の発表前にエントリーしておく方法は、スリルがあり、宝くじやロト6などと似た楽しさがあります。
しかしその分、スリッページが発生して想定よりも大きなロスカットになることもあります。
そういうリスクを嫌う人も多いでしょう。そういう人には、経済指標が発表した後、少し待ってからエントリーする方法もあります。
ニュースにはいろいろあります。まず、経済指標発表のニュースです。これは何時何分に発表されますよ。というのが分かっています。一方、スケジュールされていない突発的なニュースもあります。要人の発言や、自然災害、政治的なゴタゴタなどです。
私が思うに、突発的なニュースでトレードするのは難しいとおもいます。心の準備ができていない状態でエントリーすることになるからです。ですから、経済指標発表のニュースだけをトレードするのがお勧めです。
経済指標の発表後にトレードする方法は、いくらでもありますが、このページでは、もっともシンプルな3つの方法を解説します。
経済指標発表後にエントリーする3つの方法
まず、経済指標の結果を予測することはありません。発表後にエントリーします。
この方法の良いところは、経済指標発表後のとてつもなく荒い値動きがおさまってからエントリーしますので、荒い値動きが予測されるNFPなども含め、全ての経済指標がトレードの対象になることです。
先回りしてエントリーする方法では避けていたNFPや中央銀行の会合などもトレードできます。ボラティリティ―が高いのも、結果の予測が難しいものも、どちらも大歓迎です。要は値が動けばそれでよいのです。
5分足のブレークアウトでエントリーする手法
私の感覚ではそんなんでいいのか?と思いますが、こんなシンプルな方法でトレードしている人もいます。
経済指標が発表された後、5分足を観察し続けます。そして、経済指標の方向に5分足がブレークアウトが起きたらエントリーします。「経済指標の方向に」というのは、英国の個人消費が良い数字だったとしたら、GBP/USDの5分足の高値をブレークアウトするところでエントリーするということです。
ルールは以下のようなものです。
- 経済指標の結果を確認する
- 経済指標発表後に5分待つ
- 経済指標の結果が良ければ買い、経済指標の結果が悪ければ売りを狙う。
- 5分足のブレークアウトを待ってエントリーする
- ロスカット15~20pips程度
- 利食い15~20pips程度
この手法の利点は、大きなスリッページが発生する可能性が低いことです。経済指標発表前にエントリーしている場合、20pipsのロスカットを設定していても、スリッページが発生して想定以上のロスになることがあります。
しかし、値動きが落ち着いてからエントリーする手法の場合は、ロスカットの時の約定が安定しています。スリッページが発生するとしても、それほど大きなものになることは少ないでしょう。
ロスカットの時の約定が安定しているので、20pipsのロスカットを入れておけば、20pips程度のロスカットで逃げれるだろう、という自信を持つことができます。ですので、利食いも20pipsなら、リスクレワード比1:1程度が期待できます。
そうなると、勝率が55~60%ぐらいあれば、十分に魅力的な手法となります。
私の友人曰く、経済指標が発表された後、大きな勢いを持っている相場環境で、経済指標の方向に5分足のブレークアウトについていけば、60%程度の勝率を実現できるのだそうです。
経済指標の発表後にエントリーする手法の欠点としては、勝負がつくまでに時間がかかる場合がけっこうあるということです。
経済指標前にエントリーする手法の場合は、指標発表の15分ぐらい前にエントリーし、指標発表の直後に利食いかロスカットになります。勝負がつくには、ほんの数十秒~長くても15分程度です。
しかし、経済指標の発表後にエントリーする手法の場合は、すぐには決着がつかず、1時間~3時間ぐらいかかることが多くなります。その間、やきもきしながら見続けることになります。ですから、長時間待つ覚悟は必要です。
経済指標ボックストレード
このトレード手法は、経済指標の発表を利用しますが、経済指標の結果や、値動きの方向性は全く意識しません。純粋に経済指標発表直後のボラティリティ―を利用する手法です。経済指標の結果がどうであれ、勢いのある方向についていくだけです。
以下のような売買ルールになります。
- 経済指標の発表から15分待つ
- 経済指標発表の5分前から15分後までの高値と安値を特定する
- 高値のブレークアウトで買いを狙う
- 安値のブレークアウトで売りを狙う
- どちらかが約定したら、もう片方はキャンセルする
- 利食いは20pips前後、ロスカットも20pips前後の設定で注文を入れて放置する
以上がトレードルールです。
この手法がプラスになるには、もちろん、勝率で55%~60%程度が必要です。
この手法の良いところは、以下のようなポイントです。
・裁量の判断がほぼゼロ
・トレードルールが簡単
・経済指標の結果を予測する必要が無い
・経済指標の結果で判断する必要が無い
・大きなスリッページが起きにくい
私が思うに、このようシンプルな手法の欠点は、あまりにシンプルであるため、何時までも機能するわけではない。ということです。
最良の判断が不要な手法で、あまりにもシンプルな手法の場合、今機能している手法は、いずれ機能しなくなる運命にあります。本気で取り組むのであれば、若干のアレンジを加えながら運用していく事になるでしょう。
経済指標発表後のボラのある相場で普通にスキャルピングをする方法
普段からFXのスキャルピングをやっている人なら、経済指標のタイミングに合わせて、普通にスキャルピングをやるのは良い方法です。私はこの方法が好きで、ポジションサイズを抑えて経済指標発表直後のスキャルピングをすることがよくあります。
経済指標発表の瞬間はスプレッドが広がるのでしばらく観察しておき、スプレッドが通常に戻った時点で普通にスキャルピングを行います。普段よりもボラティリティ―が出やすい状況になっているので、普段よりも活発にトレードできます。
とくに70ティックチャートなどを使ったパターンブレークアウト手法なら、短時間の間に何度も良いセットアップができる可能性があるので、普段の退屈な時間帯よりもチャンスが広がります。
スキャルピングに興味がある方はスキャルピングで勝つ考え方と具体的なトレード手法 まとめを参考にしてみて下さい。
どんな時間帯でトレードすべき?
経済指標の発表でトレードするなら、その発表時間に合わせてトレードすることになります。重要な経済指標のほとんどは日本時間の夕方から、深夜にかけて発表されますので、昼間はゆっくりしておき、夕方からトレードすることをお勧めします。
どの時間帯でFXが活発に取引されるのかを知っておく必要もあります。
オセアニア~アジア時間
日本時間の早朝に、FXはまずオセアニアで始まり、アジア時間へと続きます。
この時間帯でトレードするなら、オーストラリア、ニュージーランド、日本、中国の経済指標でトレードします。中国の経済指標を使ってオージードルをトレードすることが可能です。
これは、中国とオーストラリアは密接な関係があるので、オージードルは中国の経済指標に大きな影響を受けがちだからです。
日本時間の夕方にトレードするなら、ユーロ圏、英国、スイスの経済指標を使ってトレードします。スイスの経済指標はあまりおすすめではないので、ユーロ圏と英国の経済指標が中心です。特に、英国のマーケットが開く時間はFX市場が最も活発な時間帯なので、オススメです。
日本時間の9時ごろから深夜までの時間帯は、米国の市場とヨーロッパの市場が両方開いている時間帯ですので、ほとんど全ての通貨ペアが活発に取引されます。米国の経済指標が発表される時間なので、世界中が注目しています。
どの時間帯でトレードするのばベストか?というと、やはり日本時間の夕方から、夜の12時過ぎごろまでがベストだと思います。
日本時間の朝からお昼過ぎの時間帯には、無理してトレードせずにゆっくりして、夕方からの相場に備え、英気を養っておくべきでしょう。
経済指標と使った手法の注意点
この記事では経済指標を使ったトレード手法を、出来る限りシンプルに解説しました。
経済指標の結果の「良い」「悪い」の判断はとてつもなく難しいということを覚えておく必要があります。
経済指標の数値は、数値そのものは良くても、市場の予測と比べて、「思っていたよりも悪かった」のであれば、それは悪い数値になります。
また、その逆に、数値そのものは悪くても、「みんなが思ったほど悪くなかった」のであれば、それは良い数値ということになります。
ですから、経済指標の数値が良いのか悪いのか、その判断をするのは決して簡単なことではありません。
このページを読むと、経済指標を使ったトレードが簡単そうに思うかもしれませんが、決して簡単ではないのです。
経済指標の数値を予測して先回りエントリーする手法では、ターゲットとなる経済指標に対して、「先行指標」となり得る経済指標がどれなのか?を知っていなければ始まりません。その辺りのことも、地道に勉強していかないと、なかな身につきません。
テクニカル指標やローソク足を使ったトレード手法と同様、経験を積んでいく事が重要です。
経済指標を利用した具体的なFXトレード手法 完全版
具体的にどの経済指標がどの経済指標の先行指標となるのか?という疑問がわいてきた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方のために、PDFレポートを作りました。
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