このページでは、移動平均線の基本と設定、そしてFXで勝つための「全てを組み込んだ移動平均線トレード手法」をマスターできます。初心者を対象にしていますが、ベテラントレーダーでも目から鱗のテクニックを習得できます。どうせやるなら、相場の本質を組み込んだ、あなただけのトレード手法をマスターしましょう。
★上級者の方で、「基本は知ってるよ!」という方は、目次の10、「プロ直伝!移動平均線のパーフェクトオーダーとADXを使ったガチなスキャルピングトレード手法」から読んでください。
移動平均線とは
移動平均線とは、最新のローソク足から、一定期間さかのぼったローソク足の終値平均値を計算し、その数値をチャート上に線グラフとして表示するテクニカル指標です。この指標の特徴は、値動きのトレンド(おおまかな流れ)が分かることです。計算方法はとても簡単です。5という設定の移動平均線なら、過去5本のローソク足の終値を合計して5で割った数値をチャート上に1本ずらして表示します。
20本移動平均線なら、過去20本の終値を合計し、合計値を20で割った数値を1本ずらして線グラフで表示します。
他のテクニカル指標も同じですが、移動平均線は将来の値動きを予測するために使います。移動平均線の傾きを観察することで、その通貨ペアが今後どちらに進みそうかをある程度予測することができます。
先程も言いましたが、移動平均線は、価格の値動きを滑らかなラインとして表示する指標です。
いろんなタイプの移動平均線があります。種類も複数ありますし、設定もいろいろとカスタマイズできます。
一般的に移動平均線の種類や設定を変えることで、よりゆったり滑らかな線になったり、より敏感に値動きに反応するように設定できます。
20本の設定を50本や200本と増やすと反応が鈍くなり、滑らかな線になります。
一方、EMA(指数平滑移動平均線)の設定にしたり、本数の設定を10本や5本など、短く設定すると値動きに敏感に反応するようになります。
「そんなことぐらい分かってるよ!」
「実際のトレードへの活かし方を早く教えてくれ!」
そんな声が聞こえてきそうですね。
しかし、他のテクニカル指標同様、テクニカルを有効に使いこなすには、最低限の仕組みは知っておく必要があります。
なぜなら相場環境が変化したときにはテクニカルの設定をいじらなければならないからです。
そんな時、移動平均線の理屈を全く理解できていなければ適切に設定できません。
分かりやすく解説しますので、お付き合いください。
まずは次のセクションで
単純移動平均(SMA)と指数平滑移動平均線(EMA)の違いからおさらいしましょう。
単純移動平均(SMA)
単純移動平均(SMA)は、FXの世界でもっとも単純なテクニカル指標です。
移動平均線というと、たいていこの単純移動平均(SMA)のことを言います。
移動平均線は本数の設定をすることで「敏感さ」を設定できます。
設定の仕方は簡単です。
これはMT4の移動平均線設定画面ですが、どの業者のチャートソフトも同じような設定画面があります。
この画面では「Period」が本数設定です。その他に線の色や太さなども変更できます。
例えばこの本数の設定を10にしたとします。
そのチャートが5分足なら、過去50分間の終値を合計し、それを10で割った数値を結んだラインが表示されます。
チャートが1時間足なら、10時間分の終値を合計し、それを10で割った数値を結んだ線が表示されます。
チャートソフトはこのような足し算や割り算を勝手にやってくれます。
ほかのほとんどのテクニカル指標にも言えることですが、移動平均線は「遅行指標」です。遅行というのは、実際の値動きに対して遅れてシグナルを発するということです。
過去の○○本のローソク足の終値の平均値を使っていますから、過去の値動きの「だいたいの傾向」を読み取り、将来の「だいたいの傾向」を予測するために使います。
下の画像を見てください。
移動平均線がチャートの忙しい値動きを滑らかな線として表示できているのがわかります。
これはドル円の日足に異なる本数設定をした3本の移動平均線を表示してあります。
50本の移動平均線(赤)が他の2本の移動平均線に比べて、ローソク足の値動きからだいぶ遅れているのが分かるでしょう。50本移動平均線は他の2本に比べて設定本数が大きいからです。
5本SMAは5本分の平均なのでローソク足にぴったりと寄り添っています。
20本SMAは20本なので、ちょうど真ん中ぐらいです。
設定本数が多くなればなるほど、移動平均線の位置がローソク足の値動きから遅れるということを覚えておいてください。
このチャートの移動平均線を見ると、ドル円は上昇トレンドだと分かります。
今の価格を見るだけでなく、移動平均線を使って過去X本の傾向をみることで、その通貨ペアが上昇トレンドなのか、下降トレンドなのか、それともレンジなのを簡単に見分けることができます。
シンプルでわかりやすい単純移動平均ですが、欠点があります。
それは、過去の大きな値動きの影響を長く引きずりすぎるという点です。
その点を改良したのが指数平滑移動平均線(EMA)です。
指数平滑移動平均線(EMA)
指数平滑移動平均線(EMA)は、最近の終値に比重を置いて計算するタイプの移動平均線です。
100本の設定だとすると、100本前の終値よりも、1本前の終値を重視して移動平均を計算するということです。
最近の終値に比重を置いて移動平均を計算することで何が良いのでしょうか?
基本的には上昇トレンドだとします。
ニュースの影響などでローソク足一本で一時的に大きく下げ、すぐに戻したとします。
単純移動平均(SMA)を使っていると、移動平均の位置がこのような一時的な下落の影響を後々まで受けてしまいます。
このチャートには100本の単純移動平均(SMA)(赤)と指数平滑移動平均(EMA)(緑)を表示しています。
明確な上昇トレンドです。
一時的な下落がありますが、赤のSMAの方はこの下落の影響を受け過ぎてなかなか上昇しているという事実に反応できていません。
それにくらべ、緑のEMAの方は最近の終値に比重を置いて計算しているので赤よりも敏感に上昇しています。
指数平滑移動平均線(EMA)は最新のデータを重視して計算しているからです。
トレードにおいては、遠い昔に起きたことよりも、今起きていることの方が重要です。
その考え方を移動平均の計算方法に織り込んだのが指数平滑移動平均線(EMA)だということです。
単純移動平均と指数平滑移動平均 どっちがいいの?
単純移動平均と指数平滑移動平均について解説しました。
どっちがいいのでしょうか?
先程までの解説を聞くと、指数平滑移動平均のほうが良いと思っているかもしれませんが、それは目的によります。それぞれに長所と短所があるからです。
まずは指数平滑移動平均(EMA)から見てみましょう。
値動きに敏感に反応する移動平均が欲しいなら、短い設定の指数平滑移動平均が良いです。
トレンドが発生したらすぐに反応しますから、早くトレンドに乗ることができ、より大きな利益を狙えます。
指数平滑移動平均の短所は、レンジ気味の値動きになる場合にダマシに引っかかりやすくなるということです。
値動きに対する反応がよすぎるので、ちょっとした上げに反応して買いシグナルが出てしまい、結果ダマシに合ってしまうことが多くなるのです。
単純移動平均(SMA)の場合はその真逆になります。
ゆったりと滑らかに動く移動平均が欲しいのであれば、長い設定の単純移動平均が良いです。
長い設定の単純移動平均は長期のトレンドの方向性を示してくれます。
たしかに値動きに対する反応が遅いですが、ダマシにひっかかりにくくはなります。
単純移動平均の短所は、反応が遅いのでエントリーが遅れてしまいがちになるということです。
両者の長所と短所を表にまとめると以下のようになります。
単純移動平均(SMA) | 指数平滑移動平均(EMA) | |
長所 | 滑らかな移動平均線になる。ダマシの売買シグナルを減らしてくれる。 | 値動きに素早く反応する。直近の値動きを反映しやすい。 |
短所 | 値動きに対してかなり遅れて売買シグナルを出すので、ロスカット幅が広くなりがち。 | ダマシの売買シグナルを発しやすい。 |
「どっちを選べばいいんだよ!」
と言われそうですね。
それはあなた次第ではありますが、私なりのアドバイスがあります。
それは、何本かの移動平均を併用することです。
たとえば、長い設定の単純移動平均を長期的なトレンドを見極めるのに使い
そして短いめの設定の指数平滑移動平均を売買のタイミングをとるのに使うというのは良い方法です。
移動平均線の本数を設定するときの考え方
移動平均線の本数の設定は、分析の目的により変わります。
5本~20本程度の短期の移動平均は短期的なトレンドを分析するのに適しています。
中期的なトレンドを分析したいなら、20~60本程度の設定が良いでしょう。
もっと長期的なトレンドを分析するなら、100本以上が良いとされています。
移動平均線の設定は好きな数字にせっていできますが、人気のある本数設定というのがあります。
200本移動平均線というのが、一番有名です。もちろん、大きな数値となりますので、長期のトレンドを分析するための設定です。
中期のトレンド分析だと50本がポピュラーです。
短期には10本が多く使われます。
50本、200本の2本を一緒に使い、必要に応じて短期の10本移動平均線を追加するというのが多いと思います。
このような人気のある本数設定を使うのは一つの方法です。
それとは違う考え方として、フィボナッチ数を移動平均線の設定に使う人もいます。
フィボナッチ数列とは以下の数値です。
1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144,233
どうせなら、フィボナッチ数で設定しようという考え方ですね。
複数の移動平均線を使う場合に、バランスを取る意味では良いのかもしれません。
一つ飛ばしで、8、21、55などと設定すると、バランスのよい間隔になるのかもしれません。
あなただけの移動平均線の設定を考えるときの、一つの参考にしてみてください。
移動平均線を使ったトレード手法
移動平均線を使った売買手法はたくさんあります。
ここから先は、移動平均線を使った分析手法やトレード手法を詳しく解説していきます。
- 移動平均線を使ってトレンドを見極める方法
- 移動平均のクロスオーバーを使ったトレード手法
- 移動平均線をレジスタンスラインやサポートラインとして使う方法
- プロ直伝!移動平均線のパーフェクトオーダーとADXを使ったガチなトレード手法
特に最後の「移動平均線のパーフェクトオーダーとADXを使ったガチなトレード手法」は、相場で安定して勝つための要素を全て組み込んだ手法となりますので、必ず最後まで読んでいただければと思います。
移動平均線を使ってトレンドを見極める方法
FXにおける移動平均線の有効な使い方の一つは、トレンドを見極めるのに使うことです。
簡単なのは、一本の移動平均線を表示し
- 移動平均線よりも価格がおおむね上にあれば上昇トレンド
- 移動平均線よりも価格がおおむね下にあれば下降トレンド
という判断をすることです。
このチャートだと、ほとんどのローソク足が34本単純移動平均の下にあるため、下降トレンドだとわかります。
この考え方はシンプルで素晴らしいのですが、問題もあります。
シンプルすぎるという問題です。
先程の状態から何らかのニュースなどで価格が上がり、ローソク足が移動平均線の上に出てきました。
そこであなたはこう思います。
「うーん、ココから上昇トレンドに転換するんだろ!見破ったぜ!」
そして100万通貨買います。
移動平均の買いシグナルが出たから自身があるからです。
残念。さっきの上昇は一時的な戻しであり、そのあとすぐに急落しました。
分析が単純すぎてもいけないようです。
解決策は、設定の違う移動平均線を複数表示することです。
そしてそれらの移動平均線の順番を見ることで大筋のトレンド方向を読み取り、早とちりなエントリーを防ぎます。
このチャートでは設定の違う3本の移動平均線を表示しています。
89本SMA
34本SMA
13本EMA
34本SMAの上にローソク足が出ても、長期の移動平均線(89SMA)は急こう配で右肩下がりですし、ローソク足もその下にありますので、今は買いではないのがわかります。
このように短期~長期の複数の移動平均線を上手く組み合わせるとダマシをかなり防ぐことができます。
だましを防ぐだけでなく、有利なエントリーにも使えます。
たとえば、長期の移動平均線が明確な下降トレンドを示している状況で、ちょっとした上昇があり、短期の移動平均線が買いシグナルを発したとします。
ちょうど先程のチャートのような状況です。
そこでは買いシグナルをスルーし、そのあと急激に上昇が弱り、ローソク足のプライスアクションなどで売りのシグナルが出たら絶好の空売りチャンスとなります。
ちなみに13、34、89という中途半端な数字はんだ?と思うかもしません。これはフィボナッチ係数を移動平均線の設定に使っているのです。
フィボナッチ係数にはこんな使い方もあるのだということも参考にしてください。
移動平均線のゴールデンクロスやデッドクロスを使ったエントリー
先程までの解説で、移動平均を使ってトレンドを判断する方法をマスターしました。
次は移動平均線をエントリーシグナルとして使う方法を解説します。
非常にシンプルな方法ですのですぐに理解できると思います。
ますはチャートに短期と長期の2本の移動平均線を表示してください。
例えば、13本のEMAと34本のSMAなんていうのは良い組み合わせです。
この2本の移動平均線を売買シグナルに使います。
ゴールデンクロスという買いシグナル
ゴールデンクロスとは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上に抜けることを言います。これは買いシグナルとなります。
デッドクロスという売りシグナル
デッドクロスはその逆パターンです。
短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から下に抜けることをデッドクロスと言います。これは売りシグナルとなります。
すごくシンプルで簡単ですよね。
このシグナルに従うだけで安定して勝てるのでしょうか?
そう簡単にはいかない
残念ながらそう簡単にはいきません。
移動平均線のクロスを使った売買シグナルには欠点があるのです。
それは、レンジ相場ではコテンパンに負けてしまうとう致命的な欠点です。
ゴールデンクロスしたから上げるのか?と思えば下げ、
デッドクロスしてここから下げるのか?と思いきや上げるような相場です。
相場の7割の時間帯はそのようなレンジ相場になると言われています。ですから、移動平均のゴールデンクロス/デッドクロスを片っ端からトレードしていたのではお金がいくらあっても足りません。
どうすればよいのでしょう。
移動平均線のクロスは相場環境を見極めて使うとよい
いろんな解決策がありますが、ここではシンプルなものを1つ紹介します。
トレンドを見極めるための移動平均線をもう1本追加するのです。
売買シグナルに使う移動平均線よりも長期の設定の移動平均線を使います。
ここでは89本のSMAを使うことにします。
トレンド判断の移動平均として89本SMA
売買シグナル向けの移動平均線として、13EMAと34SMAを使います。
茶色線(89SMA)でトレンドの向きを判断し、赤線(34 SMA)と緑線(13EMA)を売買シグナルとして使います。
移動平均線の売買シグナルがレンジ相場ではうまくいかないことはわかっています。
ですから、茶色線が横ばいの状態 = レンドが出ていない状態 = レンジ相場 では全ての移動平均線クロスシグナルを無視します。
これでかなりのダマシの売買シグナルを回避することができます。
いったん本格的な下落がはじまると、茶色線が右肩下がりに傾きます。
こうなるとそこからは移動平均の売りシグナル、デッドクロスだけをトレードします。
茶色線の傾きから、下降トレンドであることが明らかなので、買いシグナルであるゴールデンクロスは無視してやり過ごします。
そして下降トレンドの方向へのクロス、デッドクロスが発生したら、売りから入るのです。
大筋のトレンドに沿ったエントリーなので、長期的に見て安定して勝てる見込みのあるトレードとなります。
このように、移動平均線のクロスの売買シグナルは闇雲に片っ端からエントリーするのではなく、何らかの方法で相場環境を読んだうえで、有利な方向にだけエントリーするようにしてください。
移動平均線のクロスの解説は以上です。
移動平均線をレジスタンスライン/サポートラインとして使う方法
移動平均のクロスの次にあなたに覚えておいていただきたい移動平均線の使い方は、移動平均線をサポートラインやレジスタンスラインとして使う方法です。
移動サポートライン、移動レジスタンスラインと呼んでも良いでしょう。移動平均線はその名の通り、値動きに従って常に移動しているからです。
世界中のFXトレーダーが主要な移動平均線をサポートライン、レジスタンスラインとして使っています。
下降トレンド中なら、右肩下がりの移動平均線にローソク足が戻ってきてタッチするところで空売りを狙います。
逆に上昇トレンド中なら、右肩上がりの移動平均線にローソク足が戻ってきて移動平均線にタッチするところで買いを狙います。
下のチャートは下降トレンド中に移動平均線がレジスタンスラインとして機能している例です。
ピンクの塗りつぶしで示したレンジ相場を下抜けしたあと、勢いのある下降トレンドになっています。
このように勢いのある下降トレンド相場では13本EMAのような短期の移動平均線がレジスタンスラインとして機能してローソク足の頭を押さえながら落ちていくことがよくあります。
茶色線、赤線、緑線の順番に移動平均線がならんでいる状態で、戻しの値動きでローソク足が緑線にタッチするところで空売りを狙うと、高確率で利益になっているのが分かります。
上昇トレンドの場合なら上下を反対にするだけで、考えかたは全く同じです。
移動平均線をサポートラインやレジスタンスラインとして使う場合に注意しておいていただきたいのは、
移動平均線はトレンドが発生している状況でしか機能しない
ということです。
この原則は移動平均線のクロスの場合と同じです。
また、移動平均線は他の種類のラインと同じように、エリアとして見る必要があるということです。
かならずしも移動平均線上でピッタリと上昇が止められるわけではありません。
少し抜けた後に反転するような場合も多々あります。
ですから、移動平均線をエリアとしてとらえる必要があります。
あと、移動平均線も他のラインと同じように、いずれブレークアウトされるということ覚えておいてください。でないと、トレンドが永遠に続くことになってしまいます。
レジスタンスラインがブレークアウトされるとサポートラインに変わるという性質があります。
長いあいだ相場の頭を押さえつけてきた移動平均線が上にブレークされると、今度はその移動平均線がサポートラインとして機能し始めることがよくあります。この性質も他の種類のサポートライン、レジスタンスラインと同じです。
最後に、他の方法で引いたラインと移動平均線が重なるポイントではチャートが高確率で反応しやすいということも覚えておいてください。ラインが密集しているエリアは世界中のFXトレーダーが注目しているので、そこで反転することが多くなるのです。
プロ直伝!移動平均線のパーフェクトオーダーとADXを使ったガチなスキャルピングトレード手法
相場で安定して勝つための要素を全て組み込んだ、プロレベルのガチなトレード手法を解説します。
パーフェクトオーダーとは?
移動平均線のパーフェクトオーダーとは、3本の短期、中期、長期の移動平均線が、トレンド方向に順番に並ぶ現象を使ったトレード手法です。
パーフェクトオーダーには、単純移動平均線を使っても指数平滑移動平均(EMA)を使ってもどちらでも構いません。
本数の設定も、バランスよく差のついた3本の移動平均線を使うのであれば、設定は自由です。
上昇トレンドにおけるパーフェクトオーダーがどういうものかというと….
8本移動平均線が21本移動平均線よりも上にあり、21本移動平均線が55本移動平均線よりも上にあれば、この3本の移動平均線がパーフェクトオーダー状態にあり、買いを狙うことになります。
逆に下降トレンドにおける移動平均線のパーフェクトオーダーとは…
8本移動平均線が21本移動平均線よりも下にあり、21本移動平均線が55本移動平均線よりも下にあれば、この3本の移動平均線がパーフェクトオーダー状態にあり、売りを狙うことになります。
8、21、55という設定で解説しましたが、本数設定はあなたの好きなように決めると良いです。
各移動平均線のバランスをとることが大切なので、前述したように、設定にフィボナッチ数を使うのはありですね。
移動平均線のパーフェクトオーダーを使ったトレード手法
ここでは、移動平均線のパーフェクトオーダーを使った手法の売買ルールを解説します。
買いの売買ルール
移動平均線の設定
短期:8本
中期:21本
長期:55本
(設定はあなたの好きなように変更しても大丈夫です)
エントリーの考え方
3本の移動平均線が、上から8本、21本、55本の順番に奇麗に並んだら、買いを狙います。
エントリータイミングですが、パーフェクトオーダーの条件を満たした後、5本のローソク足が経過してもパーフェクトオーダーの条件を維持しているなら、短期移動平均線の価格に指値注文を入れて買います。
早い話が、移動平均線がパーフェクトオーダーの条件を満たし、しばらくその状態を維持したら、短期移動平均線への押しでエントリーするということです。
勝率を上げる追加の売買ルール1 ADXのシーケンス
基本は上記の売買ルールですが、これだけだと、レンジ相場の状態になっているときにダマシに引っかかりやすく、安定して勝てません。
そこで、値動きの勢いを計るADXというテクニカル指標の条件を追加します。
ADXで以下のようなシーケンス(順番に起きること)を条件に加えることで、勝率とリスクレワード比が劇的に向上します。
1.ADXが20以下で停滞
2.エントリーを狙っているのとは反対方向に値が動き、ADXが40~50ぐらいに一瞬だけ上昇する
3.エントリーを狙っている方向にブレークアウトし、20よりも上にADXが上昇してくる
ADXでこのような出来事が起きたあと、移動平均線のパーフェクトオーダーにつながっていくと、高い勝率と良いリスクレワードのエントリーが期待できます。一つ一つ見ていきましょう。
1.ADXが20以下で停滞
ADXが20以下で停滞していたということは、レンジ相場だったことを意味します。
レンジ相場からブレークアウトしてきた場合の値動きには信憑性がありますので、この条件を加えます。
2.エントリーを狙っているのとは反対方向に値が動き、ADXが40~50ぐらいに一瞬だけ上昇する
レンジ相場から単純にブレークアウトするのでも良いのですが、レンジの下方向にダマシのブレークアウトがあった後の上方向へのブレークアウトには、より高い勝率を期待できます。
それは、下方向へのだましブレークアウトで空売りしてしまったトレーダーが、上方向へのブレークアウトでロスカットになるからです。ロスカット注文は成り行き注文なので、上昇に勢いがつきます。
これは売り買いが逆(上下逆)のパターンでも同じです。
(上方向へのダマシブレークアウトの直後は、下方向への値動きに信憑性が増すということ)
画像は売りのパターンです。
3.エントリーを狙っている方向にブレークアウトし、20よりも上にADXが上昇してくる
これは今の値動きに勢いがあるということをしめします。
勝率を上げる追加の売買ルール2 位置やローソク足の条件を追加する
位置的な条件とは、重要な水平線やトレンドラインをブレークするようなポイントか?ということです。
なんでもないポイント、例えばレンジでごちゃごちゃしている真っ只中でエントリーするようりも、レンジをブレークアウトしてきたところでエントリーするほうが上手くいきます。
ローソク足の条件とは、特別目立つ長いローソク足が、エントリーの方向に出ている。といったことです。このとき、そのローソク足や、そのローソク足を含むスイング(値動きの波)の出来高が比較的大きくなっているなら、さらに良いです。
詳細は、このあと解説するトレードの例を参考にしてください。
ロスカット注文の位置
ロスカット註文を入れる位置としてはいろいろ考えられます。
・最初にパーフェクトオーダーを満たしたローソク足の安値にロスカット註文を入れる。(空売りなら逆)
・長いローソク足の後ろに隠れるような位置にロスカット註文を入れる
・買いポジションなら一番近いスイングローの少し下に。売りポジションならスイングハイの少し上に
といったところです。
ロスカット注文は、単純なルールというよりは、状況に応じて臨機応変に対応していきましょう。
利食いとロスカット註文の動かし方
パーフェクトオーダーの条件が崩れたあと、5本のローソク足で条件が崩れた状態を維持したら、成り行きでロスカット、もしくは利食いします。
パーフェクトオーダーを根拠にエントリーしたわけですから、その条件が崩れたならエグジットするのが正しい判断だと考えます。
利食いは、重要なレジスタンスラインに指値で利食い註文を入れておきます。ただし、リスクレワード比で3:1よりも近い位置に利食いを入れないようにします。
利益を上手に伸ばしたい方は、トレーリングストップを使った利益の伸ばし方を参考に指定ください。
売りの売買ルール
考え方は買いの場合と全く同じです。
上記、「買いの売買ルール」をひっくり返した売買ルールとなります。
移動平均線をつかったスキャルピングの例 パーフェクトオーダー手法
チャートを見ていただければ、これまでに解説したことのまとめになっているので、理解していただけると思います。
しばらく横ばいのレンジ相場が続いた後、下にブレークアウトして移動平均線のパーフェクトオーダーの条件を全て満たすエントリーシグナルが出ています。
1.移動平均線のパーフェクトオーダーになって5本のローソクの間、その状態を維持
2.少し前にADXが20以下で停滞していた
3.少し前にレンジ相場から上にダマシのブレークアウトのような値動きがあり、ADXが一瞬上昇した
4.下にブレークアウトする値動きにおいて、ADXが20を超えて上昇基調にある
5.下にブレークアウトするローソク足に勢いがあり、出来高も増加している
こういった条件をすべてみたしているので、短期の移動平均線(赤色)タッチで空売りします。
赤の水平線(チャートの下の方)は上位足で引いたサポートラインですので、そこで利食いするか、パーフェクトオーダーが崩れて5本維持したら成り行きで利食いします。
ロスカット註文は、ブレークアウトにつながった強い陰線の上に置きます。
移動平均線 まとめ
移動平均線について詳しく解説してきました。
最後に要点をまとめておきます。
- 移動平均線は、値動きを滑らかな線として表現するテクニカル指標である。
- 移動平均線にはいろんな種類があり、単純移動平均線(SMA)と指数平滑移動平均(EMA)を覚えておくとよい。
- 単純移動平均線(SMA)は一番シンプルな移動平均線。過去の価格も直近の価格も同じように扱う。
- 指数平滑移動平均線(EMA)は最近の値動きに重きをおいて計算した移動平均線である。
- 単純移動平均線は指数平滑移動平均をよりもなめらかな動きになる。
- 設定本数の長い移動平均線は、短い移動平均線よりも滑らかな動きになる。
- 指数平滑移動平均線を使うとトレンドを早く捉えることができるが、ダマシに引っかかりやすい。
- 単純移動平均線や設定本数の長い移動平均線を使うとダマシを回避しやすいが、エントリーが遅れがちになる。
- 設定本数の異なる複数の移動平均線を併用して「イイとこ取り」をするのが上手い方法。
- 移動平均線のゴールデンクロスやデッドクロスをエントリーシグナルとして使うことができる。
- 移動平均線をサポートラインやレジスタンスラインとして使うことができる。
- 移動平均線はトレンドが発生している状況でのみ機能する。
- 移動平均線のパーフェクトオーダーはADXのシーケンスや位置、そしてローソク足と組み合わせるとすごい手法になる
以上で、移動平均線の設定方法と、移動平均線のパーフェクトオーダーを使った具体的なトレード手法の解説を終わります。