FXの初心者が勉強を始めると、学ぶことの多さに圧倒されます。チャート、テクニカル分析、ファンダメンタル、経済、ニュース、ローソク足、出来高分析、センチメント分析… あまりの多さに、「一体どれだけ勉強すればよいのか?」「全てのことを学ばなければいけないのか?」そんなふうに叫びたくなるでしょう。メルマガ読者の方がそんな質問を投げかけてくださいました。この記事で回答いたします。
読者様からのご質問
サンチャゴ様
いつも大変お世話になります。
何度か質問させていただいた初心者のものです。
再度、アドバイスいただきたく、勝手ではありますが、お許しください。
アドバイス頂きたいことですが、それは、トレードに対しての勉強方法です。
私事ですが、トレードを始めて1ヵ月半。
始めは、初心者向けの書籍を2冊読んで、その後、サンチャゴさんのブログを発見して、
現在は、サンチャゴさんの電子書籍とオリバーペレス著「デイトレード」のみで勉強しています。
最初は値幅の大きい新興銘柄で始めたのですが、あまりにも歩み値や板の動きが速く
まったく、ついていく自信がなく、そのことについてサンチャゴさんから日経225ミニはどうか?
というアドバイスを頂きました。
はじめの4日間は相場を観察して、5日目から取引は1枚のみ、3回連続で損切りに掛かったら
その日のトレードは中止。危ないと感じたら早めに損切り。エントリーは自分の引いたライン付近
のみで、焦らず、じっくりと待ち、1つでも自分の見たいことが起きたら躊躇なくエントリーする。
トレンドには逆らわない。そのような事をルールとして決めてトレードをはじめました。
ですが、ルール違反を繰り返し、また、相場の不確実性を理解できず、また、”損したくない”という
本能に負け、しばらく負けが続きました。
現在は、ルールをしっかり守るとこに徹し、以前よりかは、勝てるようにはなりました。
そのような状況の中で、最近、疑問に思うことがあり、メールさせていただきます。
それは、相場に対する勉強のありかたです。
勉強することでは、ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析などあると思いますが、どれくらいの知識が
必要なのかと疑問に思うことがあります。
私のような素人考えは、かなり甘いと思われるかも知れませんが、例えば、経済のことは良く知っている、また、
テクニカル分析もかなり詳しい…。
でも重要なのは相場観を読む経験や、歩み値、板、出来高を読むスキル。
1番重要なのがメンタル面ではないのか?サンチャゴさんの書籍で自分なりに理解しました。
(私の勝手な解釈でしたら申し訳ありません)
経済などの知識が豊富なことは自己満足の世界で、また、テクニカル面などの知識が多いと逆に、
エントリーの条件が厳しくなり、チャンスを逃しやすくなるのでは?と素人なりですが、考えてしまいます。
要は、今、相場で起きていることに対して躊躇なく、判断、行動できる経験や様々な規律なのかな?と思っています。
もちろん、それは、知識あっての判断、行動だと理解しています。
言っていることが矛盾していますが、相場で生き残るには、どれくらいの知識量が必要なのかわかりません。
私は、正直、勉強が大嫌いです。
子供のころから勉強嫌いで遊んでばかり。
ハッキリ言って頭が悪いのです。
経済アナリストのコラムを読んでも、???さっぱり理解できません。
難しい経済用語を1つ1つ理解していく努力は苦痛です。
誰もが知っている経済の知識しかない自分がトレードをして良いのか不安になります。
また、サンチャゴさんのブログ以外で他の方のブログを読みましたが、難しそうなテクニカル分析をブログ上で
披露してありました。
それを見て、テクニカル分析がこれくらい詳しくなければいけないのか不安になります。
ブログを立ち上げている方の、そのブログの内容を読んでみると、当たり前ですが、皆、かなりの知識量で
恐ろしくなるほど勉強に対してストイックで努力をされているのが良く解ります。
ブログを立ち上げられるほどの知識を増やす努力が出来て、やはり、頭が良くなくては相場の世界では生きて
行けないのかなと感じています。
もちろん、知識を得る努力が必要なことは理解しています。
私がサンチャゴさんの書籍を4回も5回も繰り返し読み返していることは、勉強嫌いな自分にとって
ありえないことです。
書籍には実際にトレードを体感してみて理解できることが多々あったからです。
これからも読み返すと思います。
もちろん、サンチャゴさんの書籍以外でも、知識を増やす努力は必要ですが、私のような頭の悪い脳や性格では
限度があります。無理が出てきます。
はっきりいって、先ほども申しましたが、知識云々より、相場観や判断力、メンタル面重視で行って良いのではないのか。
と思います。かなり甘いでしょうか?
正直、難しい勉強はしたくないです。
やはり、知識が豊富でないと生き残れませんか?
私の中では、サンチャゴさんの書籍でメンタル面はもちろん、歩み値、出来高分析、プライスアクション偏、
テクニカル分析偏などをよく理解して、後は、生き残れる限り、相場を経験しながらプラスα的なことや、
自分にはハードルが高すぎず必要だと感じたことを勉強していけばと考えています。
勉強大嫌いな自分には、正直、難しい経済用語を理解すること。
わけが解らないと感じるほどのテクニカル分析。
本を何百冊も読むこと。
再度、言いますが、努力は必要ですが、自分の度を越えたこのような努力をしていく自信はありません。
私のような大の勉強嫌いの者は、やはり生き残れませんか?
サンチャゴ様からの反論や厳しいご意見を頂きたく、メールさせていただきました。
本当に”お前は甘い”と厳しく言っていただいて結構です。
長文で申し訳ありませんでした。
よろしくお願い致します。
サンチャゴからの回答
○○さまは、トレードで勝つための勉強を、大学や高校の勉強と同列に扱っておられるように感じました。
それは大きな間違いです。
大学で教えてもらえるようなファンダメンタルの知識が豊富だという理由で相場で勝てるのであれば、経済学の学者や大学教授はトレードで大金持ちになっているはずです。しかしそうなってはいません。
トレードで勝っている人の中には高学歴のエリートもいると思います。
しかしどちらかというとそれほどエリートではないけれど相場が本当に好きで長年相場を観察しつづけて自分なりのコツを身に付けたというタイプの人が圧倒的に多いと思います。
ロジカルトレーダー
という本におもしろいエピソードがありました。
ある2人の男が、ある偉大なトレーダーの元で同時にトレードのトレーニングを始めました。
- ハーバード大学を首席で卒業した若者
- ネジの訪問販売をしていた男
ハーバー大学卒業の若者エリートは自信満々です。
大学でファンダメンタルの知識やトレードの知識も学んだのでしょう。
ネジの訪問販売の男はこんな感じでした。
「私はトレードについて無知だし、なんの思い入れもありません」
「でも私はたくさん稼げるようになりたいので、全力で努力します!」
だれもがハーバード大学卒業のエリートが生き残り、ネジの男は脱落するだろうと思ったはずです。
しかし結果はまるで違いました。
ハーバード大卒の男が脱落し、ネジの訪問販売の男がトレーダーとして大成功、のちに大きく稼ぐフロアトレーダーになったそうです。
ハーバード卒の男は何でも知っているという自負があり、新たに学ぶことができなかった。
一方、訪問販売のセールスマンは平均的な人だったが、強い働く意欲と動機を持っていて、成功したいという強い気持ちからプライドを捨ててスポンジのように学べることを全て吸収していった。そして最後に笑ったのは訪問販売のセールスマンの方だった。
ロジカルトレーダー
より抜粋
トレードに関する知識をあれもこれも勉強し、頭でっかちになっている人は、実際の相場を観る時に、「こうあるべきだ!」「こうなるはずだ!」という先入観があまりに強すぎて、目の前で実際の起きている相場の値動きから学ぶことができないのではないでしょうか。
勉強することは大切だし、とても素晴らしいことだと思います。しかし一番大切なのは目の前の相場、自分が実際にトレードする相場から学ぶことです。
>トレードで勝てるようになるには何をいちばん勉強すべきなのか?
FXや株のデイトレード初心者が何を勉強すべきか?はトレードスタイルによって違うと思います。
私のように株や先物ならティックチャートや板読み、FXならローソク足のプライスアクションだけを頼りにエントリーするようなタイプはとにかくチャートや板情報や歩み値を見続けることが一番の勉強です。
海外のプロップファームの新人社員はそれしかさせてもらえないと聞いたことがあります。
もしあなたが経済指標を利用したデイトレードをするなら、それぞれの経済指標の良し悪しが値動きに与える影響について勉強すべきだと思います。しかし経済がどうのこうのといったことまでは勉強する必要はないと思います。
もちろん時間が無限にあるなら何でも勉強すればよいと思いますが、そんなことをしているなら相場を観察する方がよっぽど効率が良いと思います。
どれ位勉強すべきか?
時間の許す限り勉強すべきだと思います。
本を読むだけが勉強ではありません。本を読むのは勉強の一部にすぎません。
自分自身のトレードを記録し、その結果を分析するのも勉強です。最近のチャートを印刷して見直すのも勉強です。今日デイトレードした銘柄の歩み値、板、チャートを録画しておいて後から見直しをするのも勉強です。上がる直前に何が起きていたのかを見直すのも勉強です。
どちらかというと、本よりも実際に起きていることを観察する方が勉強になります。
本になんと書いていようが、自分の目の前で起きていることが一番勉強になるのです。
とはいえ、全てを自分のアイデアだけに頼るよりも先人が何千時間、何万時間の経験を積んだうえで教えてくれるアイデアには価値があります。
バランスが大切です。
プロのトレーダーなら、トレードを全力で勉強するのは当然のこと。しかし知識の勉強と実技の勉強のバランスが大切だということです。
トレードや投資に関する全ての知識を博士レベルに詳しくなれないと勝てないのか?
ロジカルトレーダーのエピソードにもあるように、大学で学べるようなタイプの知識の勉強はほどほどにしておいた方が良いと思います。
○○様が懸念されているような、「全てを網羅する知識力で勝てる気がしない」という悩みは無用です。
ただし、自分に適性のある分野を決めて、これだけは誰にも負けないというものを持ってください。その為には、自分のなかでできる範囲の努力は必要になります。しかし圧倒される必要はありません。