あなたはエリオット波動理論を実際にFXのトレードに活かすことができていますか?エリオット波動は、フィボナッチと組み合わせることで値動きを予測し、先回りしてエントリーをすることができる優れたノウハウです。
エリオット波動理論とは、「相場はめちゃくちゃに動いているようで、実は法則に従って同じようなパターンを何度も何度も繰り返している」という考え方です。相場では大衆心理が渦巻くからこそ、その結果としての株価の値動きには法則が生まれるというのです。
このページでは、エリオット波動とはいったい何なのか?を分かりやすく解説したあと、エリオット波動を利用して上手くトレードする方法を解説します。要はどんな「理論」も実戦で使えるか?ってことですよね。
エリオット波動は凄い!
19世紀の米国にラフル・ネルソン・エリオットという賢い人がいました。彼は株式相場の価格データーをとことん研究し、一つの理論を発表しました。
エリオット波動理論です。
エリオット氏によると、株式相場はめちゃくちゃに動いているようで、実は法則に従って同じようなパターンを何度も何度も繰り返しているというのです。相場では大衆心理が渦巻くからこそ、その結果としての株価の値動きには法則が生まれると。
エリオット氏は株価の上げ下げのことを「波動」と呼びました。
その繰り返されるパターンを読み取ることができるなら、株価がどこまで上がりそうなのか、もしくは下がりそうなのか?を予測できる。そう彼は主張しました。
この考え方は多くのトレーダーを魅了し続けています。この理論をベースにして自分のトレード手法を作り上げているトレーダーはかなり多いのではないでしょうか。
この理論を使えば、株価が反転しそうなポイントをあらかじめ予測しておくことができます。要するに、株価の天井や大底を予測することができるということです。
エリオット氏は、狂乱の市場の中に法則を見つけたということです。コンピュータが無い時代によくそんなことを発見できたものですね。ほんとすごい。
フラクタルとは
エリオット波動理論について詳しく掘り下げる前に、フラクタルについて知っておく必要があります。
フラクタルとは、あるものの一部を拡大すると、その全体像と同じような構造をしているもののことです。特に自然に存在するもののことを言うようです。
意味不明ですよね(笑)
例を挙げます。
いや、最後のは人工物なのでちょっと違いました。
でも僕の言いたいことは分かりますよね?
ようするに、大きいものの一部を切り取って拡大してみると、結局は同じ形してるじゃん!
という現象をフラクタルというのです。
で、なんでフラクタルが重要なのかというと
エリオット波動理論の重要な要素となる考え方の中に、
「エリオット波動はフラクタルだ!」
というのがあるからです。
ブロッコリーや雪の結晶と同じように、大きなエリオット波動は、小さなエリオット波動に分解することができるということです。
エリオット波動に興味が湧いてきましたか?
それでは深く突っ込んで解説していきましょう。
インパルス波動
エリオット氏によると、相場は5波、もしくは3波のパターンで動きます。
「上昇5波・下降3波」と呼ばれる相場の周期です。
トレンド方向の値動きには5つの波があり、トレンドに逆らう動きは3つの波から成ります。
5波の動きのことをインパルス波動と言います。
インパルスとは推進的(すいしんてき)なという意味です。トレンド方向への動きは5つの波動になることが多く、それをインパルス波動といいます。
3波の動きのことをコレクティブ波動といいます。
コレクティブとは、(調整)という意味です。押しや戻しの動きは3波になることが多く、そのパターンをコレクティブ波動と言います。
エリオット氏は株式市場でこの法則を発見したわけですが、どんな市場にも応用が利くようです。
インデックス先物市場や商品先物市場、債券市場、さらにはマグロ市場などにも応用が利くかもしれません。
そしてもちろん、エリオット波動はFX市場にも応用が利きます。
さて、ここではまず5波のインパルス波動を解説します。
このパターンにおいては、1、3、5の波動がトレンドの方向への動きです。
2、4の波動がトレンドに逆らう調整の動きです。
1~5の波動でなにが起きているのでしょうか。ひとつひとつ見てみましょう。
波動1
株の最初の上げです。たいていは、少数の人たちが「この株は割安だぞ!今が買いでしょ」と気づいて買い始めたことで上げ始めます。実際理由はいろいろでしょうけど。このような先駆者の買いの影響が波動1の上げとなります。
波動2
ここにくると波動1で買っていたトレーダーのいくらかは「買われ過ぎなんじゃない?」と思って利食いします。それで値が下がります。
しかし、ある程度下がると「この株はやっぱり割安だ!」ってことになって買われるので、波動1の安値を割り込むことはありません。
波動3
波動3が通常は一番長く強い波動となります。
これぐらい上げると、多くの人の注意を引いています。多くの人がこの株の値上がりに気づいて「俺も買いたい!私も買いたい!」となり、勢いを増して波動1の高値を超えて上げていきます。
波動4
波動3でかなり上げたのでまた「割高」となり、一部の人が利食いするので値が下がります。
しかしまだまだ買いたい人もたくさんいるので波動4の下げは緩やかな下げになります。
波動5
ここでほとんどの一般大衆が買います。一般大衆が遅れて買う動機は「欲」です。
ここまで上げると、その株の良いニュースが出たり、雑誌に乗ったりします。それにつられてたくさんの一般大衆が買わずにいられなくなるのです。
この時が、その株(FXなら通貨ペア)が最も割高となっている時です。
それそ分かっている冷静なプロトレーダー達はそこで利食いや空売りを始めます。
これが原因でその後のABCパターンという本格的な調整の動きが出ます。
行き過ぎの動き
ここで一つエリオット波動において大切な考え方の一つがあります。
それは、5つの波動の1、3、5のトレンド方向の波動のうち1つの波動が他の2つの波動に比べて「行き過ぎる」ということです。
程度の差こそあれ、トレンド方向への1つの波動が極端に長く強くなるということです。
波動3が一番強くなる!
いや、波動5が一番強くなりやすい!
諸説あるようですが、「波動3が一番強くなりやすい」というのが現在主流の考え方なようです。
コレクティブ波動
5波からなるトレンドがひと段落すると、3つの波動からなるコレクティブ波動が始まります。
コレクティブ波動とは本格的な調整の動きのことです。
コレクティブ波動には数字ではなくアルファベットのABCが使われます。
上げ相場で解説しましたが、下げ相場でも全く同じ考え方です。
コレクティブ波動の種類
押し目や戻りの動きのことをコレクティブ波動というわけですが、エリオット氏によると、そのコレクティブ波動には21の種類があるそうです。シンプルなものから複雑なものまで21種類あるんです。
「21種類!? そんなに覚えられねぇよ!」
まぁまぁ、落ち着いてください。
私だって21も覚えていません。そんな必要はないからです。
3つのシンプルなパターンを覚えておけば、あとは応用が効きます。
さっそく3つのコレクティブパターンを解説してききます。
下記では上昇トレンド中の押し目と仮定して解説します。
下降トレンドの場合は、上下をひっくり返して考えればOKです。
ジグザグパターン
ジグザグパターンは、背景にあるトレンド(この場合なら上昇トレンド)に逆らう3波の動きに勢いが強い場合です。明らかに「下げてる感」のある押しです。
フラットパターン
フラットパターンは横ばいのレンジの動きです。フラットパターンでは基本的にa,b,cそれぞれの波動の長さは同じぐらいになります。波動bが波動aを帳消しにし、波動cが波動bを帳消しにします。
「基本的には」といったのは、波動bは時々波動aのスタート地点を少しだけ超える場合があるからです。
トライアングルパターン
トライアングルパターンもレンジの動きの一種ですが、レンジの形が三角形になるタイプのことです。
右に向かって窄まっていくタイプもあれば(画像のやつ)、右に向かって広がっていくタイプの物もあります。右肩さがりに三角形をかたち作る場合もあれば、若干右肩上がりになることもあります。ただ、三角形の形をしていることが特徴です。
エリオット波動の中にあるエリオット波動
冒頭でもお話ししましたが、エリオット波動はフラクタルです。
それぞれの波動は、それよりも小規模な波動でできています。
といっても、訳が分かりませんよね。
図を見てもらえばすぐに理解できます。
ちょっと絵が…なんですが、よーく見てください。
これはインパルス波動からなる上昇トレンドの後に本格的な押しのコレクティブ波動(abc)が出たパターンです。
トレンド方向への動きである波動1、波動3、波動5を小さい時間軸のチャートで見てみると、小さなインパルス波動(5つの波動)から成っていることが多いということなんです。
また、波動2、波動4は小さなコレクティブ波動(3つの波動)から成っていることが多くなります。
ここで理解して頂きたいのは、
トレンド方向の波動を分解するとインパルス波動(5つの波動)になっていることが多い
トレンドに逆行する波動を分解するとコレクティブ波動(3つの波動)になっていることが多い
ということです。
先程の図の最後の方で出るコレクティブ波動(abc)の部分では、その瞬間に優勢な動きの方向性は下方向です。この後上昇トレンドが再開するかもしれませんが、この瞬間は下げの勢いが勝っています。ですから、下げる動きの方向にインパルス波動が出て(a,c)、上げる時にコレクティブ波動になっています(b)。
いつもではありませんが、こうなることが比較的多いということです。
どんな時も覚えておきたいのは、波動はさらに小さな波動から成っているということです。
そしてそれは延々と、1分足から月足まで繰り返されています。
エリオット波動の学者さんたちは、その周期の長さによっていろんな名前を付けていますが、そんな名前はどうでもよいです。
ようするに、週足のエリオット波動は日足のエリオット波動から成り、日足のエリオット波動は1時間足のエリオット波動から成り、1時間足のエリオット波動は、5分足のエリオット波動から成り、5分足のエリオット波動は1分足のエリオット波動から成る。
大きなエリオット波動の一つの波動は、それよりも小さな時間軸のエリオット波動から成りたっているということを理解しておけばよいです。
理解をさらに深めるために実際の私のお絵かきではなく、実際のチャートを見てみましょう。
「教科書通りじゃないな!」
そう思ったはずです。
その通り。
相場においては、何事も教科書通りにはいきません。
何度も何度もチャートを読むことで慣れてくると、教科書通りでなくても有効な波動のラベル付けができるようになるでしょう。
次の章では、そのコツを伝授します。
覚えてしまえば簡単!エリオット波動理論の3つの原則
もう分かってきていると思いますが、エリオット波動理論をトレードに活かすカギは、今どの波動にいるのかを認識できるかにかかっています。
「見る目」を養えば、買いか売り、どっちにつくべきなのか、また、どこまで上がりそうなのか(下がりそうなのか)を予測できるようになります。
波動を認識するのに役立つ「エリオット波動理論の3原則」というものがあります。
エリオット波動をあなたのトレードに活かしたいなら、この3つだけは覚えてください。
エリオット波動理論の3原則
- 原則1: 波動3が波動1、波動3、波動5の上昇の中で一番短くなることはない
- 原則2: 波動2が波動1のスタート地点を下回ることはない
- 原則3: 波動4が波動1の高値を割り込むことはない
エリオット波動の原則1
チャートで波動に番号を振ってみて、波動3が一番短くなるような番号の振り方になってしまったら、それは間違っているということです。
エリオット波動の原則2
株価が上げ始めて、これが波動1かな?と思ったとします。
しかしその次の波動2が波動1のスタート地点(安値)を下回ったなら、最初の上げは波動1ではなかったということです。
エリオット波動の原則3
波動4の安値が波動1の高値を割り込んでしまうような番号の振り方も何かが間違っています。
エリオット波動 その他のガイドライン
先程の3原則は絶対ですが、以下のガイドラインは「できればそうなっているべき」という程度のものです。あくまでガイドラインです。しかし知っていれば波動のラベル付けをするうえで役立つはずです。
- 波動5は時々波動3の高値を抜けられないことがある
- 波動5が「行き過ぎる」ことがよくある
- 多くの場合、波動3は力強い値動きとなる
- 波動2と波動4はフィボナッチリトレースメントのラインで反転することが多い
エリオット波動を利用したトレード手法の例
ここでは、エリオット波動理論を利用したトレード手法を解説します。
エリオット波動の手法を全部ここで解説することはできないので、代表的なエントリー手法の例を解説します。エントリー、利食い、ストップ注文の置き方まで全部解説します。それでは行ってみましょう。
エリオット波動的に最高のエントリーチャンス
エリオット波動では、波動3がいちばん長く、勢いもあります。
それなら、波動3の動きを取りにいくのが一番おいしいです。
これはそんなエントリーです。
何らかの理由で株価が底を打ったかもしれないと判断したとします。
株価が上げ始め、スイングハイを付けたあと、目立つ下落が発生します。
この記事で解説したエリオット波動の知識を使い、あなたは波動にラベルを付けます。
最初の上昇を「波動1」とし、続く大き目の下げを「波動2」としました。
もしここから5波のインパルス波動の上昇が始まるなら、次は波動3の上昇が続くはずです。
有利なエントリーポイントを見極めるため、あなたはエリオット波動理論の3原則やガイドラインのうち、この場面で役立ちそうなものを思い出します。
- 原則2: 波動2が波動1のスタート地点を下回ることはない
- 波動2と波動4はフィボナッチリトレースメントのラインで反転することが多い
そこであなたはMT4のフィボナッチリトレースメントをクリックして波動1の安値から波動1の高値までドラッグしてフィボナッチラインを引いてみることにします。
すると、ちょうど波動2が波動1のフィボナッチ50%にさしかかるところところだと分かります。そろそろ反転して上昇トレンドが再開するのかもしれません。
あとは何らかの買いのエントリーシグナルを待つだけです。
ほどなく次のローソク足が買いのピンバーとなったので、ピンバーの高値ブレークで買いエントリーします。
このケースではここから波動3が始まって利食いすることができています。
このエントリーではロスカット注文はどこに置けばよかったのでしょうか?
ピンバーの安値を割ったところにロスカット注文を置くのもありですが、この場合だと、
原則2: 波動2が波動1のスタート地点を下回ることはない
というのがありますので、波動1を割ったポイントにロスカット注文を置くのも良い方法です。
波動3や波動5が出るのを予測しているなら、リスクレワード的にも良いエントリーになります。
さらに、利食い注文を入れる位置もエリオット波動とフィボナッチは使えば判断できます。
波動2の始点から終点にフィボナッチを引き、1.618のラインに利食い注文を置くのです。
このようなフィボナッチの使い方をエクスターナル・リトレースメントと言います。
波動2の下げに対して100%戻した後、さらにどこまで上昇するかを予測する方法です。
波動3は波動2の値幅の1.618倍上げたポイントで一旦止められやすいという法則があるからです。
この法則を知っていれば、有利な利食いができます。
ここでポジションの全部を利食いしても良いですし、一部を残してそこからトレイリングストップで波動5が終わるところまで利益を伸ばしても良いです。
エリオット波動はいつもうまくいくわけではありませんが、高確率でうまくいきます。
この理論を知っていればトレードの仮説を立てやすいです、あらかじめ目標となるポイントを割り出せるので、精神的にも安定したトレードができます。
エリオット波動 まとめ
エリオット波動はフラクタルです。1つの波動はもっと小さな波動が集まってできています。日足チャートを見ても1分足チャートを見ても同じような波動が繰り返されています。
トレンド相場は「上昇5波・下降3波」を繰り返しながら上げていきます。
5波の動きをインパルス波動、3波の動きをコレクティブ波動と呼びます。
インパルス波動の1、3、5波のうちの一つの波動はいつも行き過ぎた動きをします。
3波の動きをコレクティブ波動と言います。コレクティブ波動は数字ではなく、a,b,cとアルファベットを使って数えます。
インパルス波動の1、3、5波は、それよりも小さなインパルス波動から成ります。
一方、インパルス波動の2、4波は小さなコレクティブ波動から成ります。
コレクティブ波動には21の分類があります。それらはシンプルな3つのパターンに分類することができます。
それは、ジグザグパターン、フラットパターン、そしてトライアングルパターンです。
エリオット波動には大切な3つの大原則があります。
- 原則1: 波動3が波動1、波動3、波動5の上昇の中で一番短くなることはない
- 原則2: 波動2が波動1のスタート地点を下回ることはない
- 原則3: 波動4が波動1の高値を割り込むことはない
最初は波動をうまく見極められないと思います。
しかし毎日見ていれば、「あー、なるほど!」と思うことでしょう。
あなたの健闘を祈ります。