オシレータ(MACDやRSIなどのテクニカル指標)のダイバージェンスを使った具体的なFXトレード手法を解説します。最初にダイバージェンスの意味をしっかりと理解してもらいます。次に、ストップ狩り(だまし)にやられにくい、MACDのダイバージェンスを使ったFX手法を解説します。もしあなたが、ダイバージェンスをマスターしてFXや株で勝ちたいなら、必ず最後まで読んでください。
オシレーターのダイバージェンスの意味
オシレーターのダイバージェンスとは、MACDやストキャスティクスなどのテクニカル指標の動きと、実際の値動きが同調しなくなる現象のことです。
ダイバージェンスの現象は、FXや株のトレードにおいて、エントリーやエグジットの判断に使えます。
早い話が…
オシレーターの値と、実際の値動きが同調していないから、その値動きは怪しいよね!
それなら、逆張りしてもいいんじゃないのか?
さいしょ
という、わりと安易な考え方です(笑)
とあいえ、ダイバージェンスの優れている点は、先行指標として使えるところです。
テクニカル指標を使った手法のほとんどは、遅行指標としての使い方です。たとえば、移動平均のクロスなどはずいぶんと遅れて売買シグナルが出ます。
それに比べ、オシレーターのダイバージェンスを使ったトレード手法においては、狙っている値動きが出る前に売買のサインが出ます。
それゆえに、オシレーターのダイバージェンスは先行指標などと呼ばれることがあります。
それに加えて、ダイバージェンス手法は相場の反転を捉えるタイプの手法なので、期待できる利益幅に対してリスクがとても小さいという特徴もあります。
ダイバージェンスのトレード手法は、理論がシンプルで理解しやすいので、少し勉強すれば誰にでもマスターできます。
この記事で詳しく解説しますので、忍耐強く取り組み、良いトレードの数を少しでも増やしていきましょう。
この記事では初級編~上級編までの内容を含んでます。
記事前半の初級編だけでは安定して勝てないので、必ず最後まで読むようにしてください。
ダイバージェンス手法に使うオシレーターの種類
ダイバージェンスを使ったトレード手法に、どのオシレーターを使うかはそれほど問題ではありません。
オシレーターとは、値動きの加熱度合いを計測するテクニカル指標のことで、MACD、RSI、CCI、ストキャスティクスなど、あなたの使っているチャートソフトにも標準装備されていると思います。
そのうち、好きなオシレーター系のテクニカルを使えばOKです。特別なものは何もいりません。
2種類のダイバージェンスとは
FXでは「高値を切り上げる」や「安値を切り下げる」という動きがありますね。想像してみてください。
大抵の場合、価格の上げ下げとストキャスティクスやRSIなどのオシレーターの上げ下げは仲よく同じように動きます。
価格が高値を切り上げたなら、ストキャスティクスなどのオシレーターも高値を切り上げるのが普通です。
価格が安値を切り下げたなら、ストキャスティクスも安値を切り下げるのが普通の流れです。
もしそうならないなら、それは価格とストキャスティクスが同意していない、意見が分かれているということです。その現象をダイバージェンスと呼んでいます。
ダイバージェンスが起きたということは、その時の値動きがちょっと怪しいということです。
ダイバージェンスの出方によって、相場が反転する兆候であったりトレンドが継続する兆候であったりします。
ダイバージェンスには2つの種類があります。
- ダイバージェンス
- ヒドゥンダイバージェンス
この記事では、これらのダイバージェンスをどうやって見つけるか、そしてどのようにトレードするかを分かりやすく解説していきます。
ダイバージェンス
ダイバージェンスは反転のシグナルです。
価格が安値を切り下げているのに、オシレーターが安値を切り上げたとしたら、それは買いのダイバージェンスとなります。
これはたいてい下降トレンドがしばらく続いたあとに起こります。
サポートライン付近まで下げてきて、価格が安値を切り下げたのに、オシレーターが安値を切り上げたら、それは反転する兆候が表れているということです。
文章だけで説明するよりもチャートを見ていただければ一発で理解して頂けます。
まずはチャートの左半分、青いラインが引いてある辺りを見てください。
価格が高値を切り上げているのに、ストキャスティクスは高値を切り下げています。
この現象を売りのダイバージェンスと言います。
売りのダイバージェンスは、
「この上昇が継続できるかどうかは、怪しい」
ということを示してます。
その直後に急激な値下がりを見せています。
次に右半分、赤いラインを引いてある辺りを見てください。
価格が安値を切り下げているのに、ストキャスティクスは安値を切り上げています。
この現象を買いのダイバージェンスといいます。
買いのダイバージェンスは
「この下落が継続するかどうかは怪しい」
ということを意味します。
その後急激な上昇が起きています。
このように、ダイバージェンスは相場の天井と大底を見分けるために使えるテクニックです。
反転しそうだぞ!というのを教えてくれるわけです。
「価格は高値を切り上げたけど、勢いは落ちている。この上昇は息切れするんじゃないか!?」
というメッセージをダイバージェンスは教えてくれています。
ダイバージェンスの考え方は理解できましたか?
それほど難しくないですよね。
ヒドゥンダイバージェンス
次はヒドゥンダイバージェンスの解説です。
ヒドゥンとは「隠れた」という意味です。
隠れたダイバージェンスということですね。
といっても、いくら探しても見つからないほど「隠れている」わけではありません。安心してください。
一度その考え方を理解すれば簡単に見つけられます。
ダイバージェンスの使い方は、相場の反転サインとして使うだけではありません。
その反対、トレンド継続のサインとしても使えます。
それがヒドゥンダイバージェンスです。
トレンドはフレンドなんていうことわざ?があります。
トレンドが継続しそうだと分かるのであれば、それは素晴らしいことですよね。そのトレンドに乗っかればよいのですから。
買いのヒドゥンダイバージェンスとはどんなものかを解説しましょう。
買いのヒドゥンダイバージェンスとは価格が安値を切り上げたのに、ストキャスティックなどのオシレーターが安値を切り下げることです。
通貨ペアが上昇トレンドにあったとします。
価格が安値を切り上げました。
その時のストキャスティクスを見てみましょう。
もしストキャスティクスが安値を切り下げていたら、それはヒドゥンダイバージェンスが起きているということです。
これは上昇トレンドが継続する可能性が高いというサインです。
ストキャスティクスが発しているメッセージは…
「ストキャスティクス的に頑張って下げようとしたんだけど、価格は安値を切り下げなかった。上昇トレンドの継続を止めるのはちょっと無理かも…」
といったところです。
ひとことで言うと、「上昇トレンド中の一時的な下落が息切れしたサイン」ということです。
これもチャートで例を確認しておきましょう。
ストキャスティクスが安値を切り下げているのに価格は安値を切り上げる、買いのヒドゥンダイバージェンスです。
下のチャートは売りのヒドゥンダイバージェンスの例です。
ストキャスティクスが高値を切り上げて頑張っているのに、価格は高値を切り下げています。
そこから下降トレンドが継続しました。
あなたはトレンドフォロワーですか?
それなら、少し時間をとってヒドゥンダイバージェンスを観察してみる価値があります。
うまくヒドゥンダイバージェンスを見つけることができたら、ローリスクでトレンドに飛び乗ることができます。
ダイバージェンスと、ヒドゥンダイバージェンス、理解して頂けましたか?
ダイバージェンスは相場の反転を捉えるためのテクニックで、ヒドゥンダイバージェンスはトレンドの継続を捉えるテクニックです。
次の項では、いよいよダイバージェンスとヒドゥンダイバージェンスを使った実際のトレード手法を解説していきます。
ダイバージェンスを使ったFXトレード手法 初級編
ここでは、ダイバージェンスとヒドゥンダイバージェンスを使った基本的なエントリー手法を解説します。
注意してほしいのは、初級編で解説するのは、あくまで基本だけです。これでけでは、専業トレーダーになるほどに安定しては勝てないかもしれません。
実際にトレードするのは、初級編を読んだ後、このページの後半で解説するダイバージェンスを使ったエントリー手法の上級編も読んでからにしてください。
ダイバージェンスを使ってエントリーする方法
ダイバージェンスを使って相場の反転を捉えるエントリー方法を解説します。
大切なことを最初にリストアップしておきいます。
- 空売りならレジスタンスラインで、買いならサポートラインで狙う
- ダイバージェンス自体はエントリーシグナルではない
- ローソク足のパターンなどのエントリーシグナルを待ってエントリーする
まずはEUR/USDの1時間足チャートを見てください。
レジスタンスラインでストキャスティクスのダイバージェンスが起きています。
このように、ダイバージェンスはどこでもいいから狙うというのではなく、空売りならレジスタンスラインで、買いならサポートラインで狙うことが大切です。
この場合は丁度レジスタンスラインを抜ける動きがダマシとなる辺りで売りのダイバージェンスとなっていますので、空売り狙いのゴーサインです。
ただし、ダイバージェンスが起きたからと言って、すぐに成り行きで空売りするわけではありません。
ダイバージェンス自体はエントリーシグナルではないのです。あくまで、「そろそろ空売りを狙ってもいいですよ」というサインです。
このチャートの場合だと、まだローソク足で売りのエントリーシグナルは出ていないので、様子を見ることになります。少し前の上昇の勢いがかなり強かったので慎重に行く必要があります。
約20時間後、レジスタンスラインを再度上抜けするダマシの動きの中で売りのピンバーが出ました。
これは文句なしの空売りエントリーシグナルです。
ここは迷わずエントリーします。
その後、時間はかかりましたが下落が起きました。
このように、ダイバージェンスでエントリーする際は、
- 空売りならレジスタンスラインで、買いならサポートラインで狙う
- ダイバージェンス自体はエントリーシグナルではない
- ローソク足のパターンやプライスアクションなどのエントリーシグナルを待ってエントリーする
この3点を意識してエントリーするようにしてください。
利食いや損切に関しては、プライスアクショントレード手法のものと同じです。
ヒドゥンダイバージェンスを使ったエントリーの方法
次はヒドゥンダイバージェンスの解説です。
まずは重要なポイントをリストアップします。
- オシレーターが買われ過ぎゾーンや売られ過ぎゾーンに到達してからエントリーを狙う
- ヒドゥンダイバージェンスはエントリーシグナルではない
- ローソク足のパターンやプライスアクションなどのエントリーシグナルを待ってエントリーする
EUR/USDの1時間足を見てください。
ダウントレンド中に売りのヒドゥンダイバージェンスが発生しています。
ストキャスティクスが高値を切り上げて買われ過ぎゾーンにタッチしたのに、価格は高値を切り下げています。
ダウントレンドが継続する可能性が高いというサインです。
しかしヒドゥンダイバージェンスはエントリーシグナルではありませんので、すぐにエントリーはしません。プライスアクションなどのエントリーシグナルが出るのを待ちます。
すると…
数時間後に売りのフクピンバーが出現。
これは文句なしの空売りエントリーシグナルです。
その後すぐにダウントレンドが継続して勢いよく下げていきました。
このように、ヒドゥンダイバージェンスでエントリーする場合は、
- オシレーターが買われ過ぎゾーンや売られ過ぎゾーンに到達してからエントリーを狙う
- ヒドゥンダイバージェンスはエントリーシグナルではない
- ローソク足のパターンやプライスアクションなどのエントリーシグナルを待ってエントリーする
この3点を意識すれば期待値の高いエントリーができます。
ダイバージェンス手法 上級編 MACDを使った逆張り
ここまでに解説した、ダイバージェンスを使ったエントリー手法は、非常に有名であり、ちょっと勉強熱心な人なら誰でも知っています。
初級編で解説した、プライスアクションのシグナルの部分は知らない人も多いかもしれませんが、ダイバージェンスを使ったエントリー判断については、かなり有名です。
「ダイバージェンス」と検索して出てくるページのほとんどで同じようなことを解説しているのではないでしょうか。
このような、誰でも知っているような単純な方法でエントリーしても、安定して勝つことができません。
その他多数の平凡なトレーダーと一緒に、想像以上のエントリーで、ロスカットになってしまうのです。
あなたなりの一工夫が必要です。
どうすればよいのでしょうか!?
ダイバージェンスで逆張りしたトレーダーが振るい落とされる可能性が高いことを見越し、分割してエントリーするのが一つの良いアイデアになります。
ダイバージェンスが起きたということは、そろそろ値動きの勢いが弱まってきたということです。
しかし、そこで安易に逆張りエントリーした人が、ちょうどロスカットになったところから、本格的なトレンド転換が起きやすいという性質を利用します。
とはいえ、素直に反転することも当然あるので、分割してエントリーするのです。
具体的な解説に行きます。
この例では、MACDのダイバージェンスを使います。
赤の水平線は、前日の高値です。このライン絡みで何らかの売りシグナルが出たら、ショートを狙うプランです。
そこで、MACDのダイバージェンスが起きました。
前日の高値を抜けた直後に落ちてくる陰線でショートポジションを建てます。ポジションサイズは通常の1/3程度にします。
一般的には、ここでショーとポジションを建てると同時に、高値の1~2Pips上にロスカット註文を置くかもしれません。
しかしここでは、通常の半分という小さなポジションサイズなので、ロスカット注文をある程度離れた位置に起きます。
これで、その後この高値を少しだけ上に抜けるような動きになっても、ストップ狩りにあうことを避けることができます。
それだけではありあせん、1回目の高値を少しだけ抜ける可能性が高いことを予測していますので、実際に1回目の高値を抜けてきたときには、さらにショートポジションを重ねます。
これはナンピン買いと同じように、負けポジションを大きくしていくコツコツドカンになるパターンではないか!?
と思うかもしれませんが、それは違います。
想定外の含み損になったから負けポジションを救済するために増し玉(ポジションを積み増すこと)するのではありません。
最初から、いったん逆行して含み損になる可能性が高いことを予測してエントリーしていて、増し玉することを想定していたので、何の問題もない素晴らしいトレードプランとなります。
ただし、どんな時でも増し玉をするわけではありません。
2回目に高値を抜けるときの値動きにおいて、MACDが高値を更新しないことを条件として、ショートポジションを重ねます。
当然、フルポジになった後は、ストップの位置を下げていきいます。
このチャートでは、1回目のエントリーの後に目立った下落はありませんでした。
もしここで、サポートラインまでの下落がすぐに起きたなら、そこで1回目のポジションの半分を利食いしておき、再度レジスタンスラインまで上げてきた時に、また売りポジションを増やしていくということもできます。
このような細かい建玉法に関しては、可能性は無限大にありますので、練習を繰り返し、できるだけ有利な方向に立ち振る舞えるようになりたいものです。
さて、このエントリーにおいて、赤い水平線や青い水平線が引かれているのに気付いたと思います。
このような水平線を高精度で引けることはとても重要です。
ダイバージェンスが、どんな相場環境の中の、どんな位置で出たのか?
を問うことがとても重要です。
そこまで踏み込んで学びたい方は、私の無料メール講座で学んでみることをお勧めします。
ダイバージェンス まとめ
ダイバージェンスについて詳しく解説しました。いかがでしたか?
最後にこの記事で学んだことをまとめておきます。
オシレーターのダイバージェンスには2つの種類がある。
- 普通のダイバージェンス
- ヒドゥンダイバージェンス
普通のダイバージェンスは相場の反転サインです。
ヒドゥンダイバージェンスはトレンド継続のサインです。
オシレーターのダイバージェンスに使用するオシレーターは何でもかまいません。
たとえば、MACD、RSI、ストキャスティクスなどです。
ダイバージェンスを使って逆張りトレードをする際の注意点は以下の3点です。
- 空売りならレジスタンスラインで、買いならサポートラインで狙う
- ダイバージェンス自体はエントリーシグナルではない
- ローソク足のパターンやプライスアクションなどのエントリーシグナルを待ってエントリーする
ヒドゥンダイバージェンスを使ってトレンドが継続することを予測してトレンドに乗る際の注意点は以下の3点です。
- オシレーターが買われ過ぎゾーンや売られ過ぎゾーンに到達してからエントリーを狙う
- ヒドゥンダイバージェンスはエントリーシグナルではない
- ローソク足のパターンやプライスアクションなどのエントリーシグナルを待ってエントリーする
あまり知られていない、ダイバージェンスを使ったトレードの上級者向けの方法は、分割してエントリーする方法です。
ダイバージェンスの逆張りシグナルで安易に逆張りしたトレーダーのストップが狩られることを見越してポジションを分割して建てていきます。
さらに、高精度なライン引きや、相場環境の読みができれば、あなたが安定して勝てるようになる可能性が劇的に上がるでしょう。