FXが何なのかをよくわからないまま、ローソク足やテクニカル分析を学び、とりあえずトレードを始めようとするFX初心者が多いと思います。
それで勝てるならいいです。でもそう甘くはありません。
FXのトレードで成功したいなら、FXという相場の仕組みはしっかり理解しておきましょう。
多少の基礎知識は必要なのです。
といっても、大してむずかしいことじゃないですから安心してください。
知る必要のある部分だけ、分かりやすく説明します。
- FXが何なのか?
- なぜFXをトレードするのか?
- FXの参加者はどんな人たちか?
- どんな時間帯にFXをやれるのか?
- FXをトレードする方法にはどんなものがあるのか?
即戦力FXを読み始めたあなたは、その辺りの超基本的なところから勉強し、ライバルに差をつけてやりましょう。
この差は後々効いてきますから…
外貨両替もFX
海外旅行をしたことがある人は多いと思います。
例えば海外旅行でアメリカに到着したなら、空港で外貨両替カウンターを探し、財布に入っているお小遣いを米ドルに両替します。
カウンターにはさまざまな為替レートが表示されるモニターがあるはずです。
よくわからないまま、とりあえず両替します。
そこであなたはこう思うかもしれません。
え?お小遣いの10000円を米ドルに両替したら、たったの100ドル!?
缶ジュースさえ変えないんじゃないの?
日本では120円するんだぜ!
しかし実際に缶ジュースを買ってみると、缶ジュースは120ドルもせず1ドル程度なので、ホッと胸をなでおろします。
さて、空港で日本円を米ドルに両替するということ、これもFXに参加したことになります。
日本円を米ドルに両替しただけでFXなの!
と思うかもしれませんが、この動作をFX的に言うと、
「日本円を売って、米ドルを買った」ということになります。
FXで言うと、USD/JPYという通貨ペアを買ったことになります。
(今は良くわからなくても、安心してサラッと流してください。あとで詳しく解説しますから。)
FXは世界最大の相場
「FX」とか「FOREX」と呼ばれる外国為替市場は、世界最大の市場です。
どれぐらい大きいかというと、もう化け物レベルです。
株式市場の市場規模とFXの市場規模を比べると、FXの市場規模がどれだけ大きいのか分かります。
2013年、東証の年間売買代金は4兆3557億ドル。
これは株式市場としては世界で第3位でした。
2位は米国のニューヨーク証券取引所(NYSE)で19兆3,287億ドル。
1位は米国のナスダックで28兆9,134億ドル。
兆ドルって、額が大きすぎて、訳が分かりません。
日本の2014年の国家予算は1兆ドル程度ですので、28兆ドルってのはとてつもない金額です。
そして、FXの売買代金はというと…
1日で5兆ドル以上といわれています。
1年じゃなく、1日で5兆ドルです。
FXのたった1日の売買代金が、東京証券取引所の1年間の売買代金よりもはるかに大きいということです。FXの市場規模は桁外れの化け物レベルということです。
で、その化け物レベルのFX市場では何が取引されているのでしょうか?
FXでは何が取引されているのか?
株式市場では株が取り引きされています。
野菜市場では野菜が取引されています。
ではFX市場では何が取引されているのでしょうか?
シンプルに言うと、FX市場では“お金”が取引されています。
FXではなにか実体のあるものを売り買いするわけではないので、理解しにくい人も多いと思います。
単純な言い方だと、米ドルを買うということは、アメリカ合衆国という会社の株を買うようなものです。米ドルの価格は、アメリカの現在の経済状況や、将来の経済状況についてどう思っているかを反映しています。
FXのトレードにおいて米ドルを買うということは、米国経済という名前の株を買ったということです。米国経済がいい感じで、これからもっと良くなるという方に賭けたことになります。
一般的に米ドルの日本円に対する為替レート(ドル円レート)の正体がなんなのかというと…
米国経済の状況が日本経済の状況に比較してどうなのか?
また、これからどうなりそうか?を反映した数字だということです。
ここまで読んで、初心者の方はちょっとわかりづらいかもしれません。
しかしくじけずに、サラッと流しながらついてきてください。
もう数ページ前に進むことで分かってきますから。
FXで取引される主な通貨
通貨記号 | 国名 | 一般的な読み方 |
USD | アメリカ合衆国 | 米ドル |
EUR | ユーロ圏 | ユーロ |
JPY | 日本 | 円 |
GBP | イギリス(英国) | ポンド |
CHF | スイス | スイスフラン |
CAD | カナダ | カナダドル |
AUD | オーストラリア | オージードル |
NZD | ニュージーランド | ニュージーランドドル |
FXでは通貨記号が使われます。
最初の2文字が国を表し、最後の1文字が通貨名を表します。
例えば、日本円の通貨義号、JPYがどうなっているかというと…
最初の2文字、JPはJapanを2文字に端折ったもの、
YはYen(円)を端折って1文字にしたものです。
それでJPYとなります。
他の通貨記号も同じです。
USDはUnited Statets Doller を端折ったものです。
上の表に記載した8つの通貨は「メジャー通貨」、「メジャーカレンシー」、「主要通貨」なんて呼ばれています。これらの通貨が最も多く取引されているからメジャーというわけです。
通貨ペア
FXが株や先物などと違うのは、ペアで考えるという点です。
株の場合なら、ペアという言葉は出てきません。
ソフトバンクの株を買う
ということを考えてみましょう。
東京証券取引所で株を買う場合、日本円で買うことを前提としていて、日本円以外の通貨で株を買うことはできないので、単純に「ソフトバンクを買う」と言えば、日本円でソフトバンクの株を買うんだなと分かります。
ですから株を買うときには、ソフトバンク/JPYを買うなどと言う必要はなく、ただ単にソフトバンクを買うと言えばよいのです。
しかしFXではそうはいきません。
GBP(英国ポンド)を買うということを考えてみましょう。
FXの場合は、GBPを買うと言っても、どの通貨を使って買うんですか?
ということを決めなければいけません。
日本円(JPY)で英国ポンド(GBP)を買うのであれば、
GBP/JPYという通貨ペアを買うことになります。
米ドル(USD)で英国ポンド(GBP)を買うのであれば、
GBP/USDという通貨ペアを買うことになります。
このように、FXでは通貨をペアで扱い、
どの通貨でどの通貨を買うのか?を示さなければいけません。
この点は株や先物などの市場とは大きく異なる部分なので、しっかりと理解しておいてください。
FXでトレードするということは、通貨ペアの片方を買い、同時にもう一方を売るということになります。
空港で日本円を米ドルに両替するときも同じです。
これは日本円を売り、米ドルを買うことになります。
FX的に言うと、USD/JPYの通貨ペアを買ったことになります。
FXの世界では、通貨同士が綱引きをしているようなものです。
円を売って、ドルを買う人が多ければドルが強くなりますし、
ドルを売って円を買う人が多ければ、円が強くなります。
そのような通貨ペアの売買が全ての通貨間で絡み合い、為替レートが決まっています。
メジャー通貨ペア
下記はメジャー通貨ペアと呼ばれるものです。
「ドルストレート」とも呼ばれます。
米ドル(USD)絡みの通貨ペアで、同時に、メジャー通貨を含む通貨ペアです。
これらは世界で最も広く取引されていて、取引量も多いのが特徴です。
- EUR/USD
- USD/JPY
- GBP/USD
- USD/CHF
- USD/CAD
- AUD/USD
- NZD/USD
主要なクロス通貨ペア
クロス通貨ペアとはUSDに絡まない通貨ペアのことです。
クロス通貨ペアのかなで最も広く取引されているのは、EUR、JPY、GBPに絡む通貨ペアです。
クロスユーロ
- EUR/CHF
- EUR/GBP
- EUR/CAD
- EUR/AUD
- EUR/NZD
クロス円
- EUR/JPY
- GBP/JPY
- CHF/JPY
- CAD/JPY
- AUD/JPY
- NZD/JPY
クロスポンド
- GBP/CHF
- GBP/AUD
- GBP/CAD
- GBP/NZD
その他のクロス通貨ペア
- AUD/CHF
- AUD/CAD
- AUD/NZD
- CAD/CHF
- NZD/CHF
- NZD/CAD
エキゾチック通貨ペア
エキゾチック通貨ペアとは、発展途上国の通貨と、メジャー通貨ペアとの組み合わせのペアです。例えば、ブラジルやメキシコ、南アフリカなどです。
FX業者によって取り扱っていなかったりもします。しかし急にチャンスが訪れたりしますので、存在を知っておいて損はありません。
これらの通貨ペアは取引量が少ないのでスプレッドが広い場合が多く、取引コストが高くつくことに注意が必要です。
下記は米ドルとのペアを書いていますが、JPYとのペアもあります。
USD/HKD 香港
USD/SGD シンガポール
USD/ZAR 南アフリカ
USD/THB タイ
USD/MXN メキシコ
USD/DKK デンマーク
USD/SEK スエーデン
USD/NOK ノルウェー
(デンマーク、スエーデン、ノルウェーは先進国ですが、エキゾチック通貨ペアに含められる場合が多いです。)
エキゾチック通貨ペアのスプレッドはユーロドルやドル円の3倍以上になり、取引コストがかさみますので、デイトレには向きません。
よほどチャンスの時にスイングトレードをする場合に限定されると思ってください。
FXには中心となる取引所が存在しない
FX市場の特徴は、中心となる取引所が存在しないことです。
日本の株は東京証券取引所で取引されますが、FXの場合は、そのような物理的な取引所は存在しません。
FXの取引は「相対取引」やインターバンク取引と呼ばれます。
銀行同士のネットワークが電気的に形成されていて、24時間休むことなく取引されています。
FXの市場は、世界中に広がる銀行同士のネットワークで、中心となる取引所はありません。当事者たちが同意すれば、取引はどこでも、いつでも、好きなように行われます。
株もネットで取引きしますが、全ての注文は東京証券取引所に集まります。
FXの場合はそうではなく、当事者間で同意した価格で取引されます。
私たち一般人がFXを取引する場合、その注文はどこに行くのでしょうか。
それはFX業者により異なりますが、大抵の場合、どこにも行きません。
FX業者が顧客の反対売買をして相場を作っている場合が多いです。
FX業者と一般投資家が同意して、インターバンクとは関係ないところで売買しているということです。
このあたりの詳しい仕組みはまた他のページで解説することにしましょう。
ここで最低限理解しておいてほしいのは、FXは東証のような取引所で注文を突き合わせて売買が成立するのではなく、当事者同士で自由に売買している相場だということです。
なぜFXが存在するのか
FXが存在する一番の理由は、企業が外国と貿易をするときに外貨を調達したり、外貨を自国通貨に両替するシンプルな方法を提供するためです。
FXが存在するおかげで、企業や銀行、政府はある国の通貨を他の国の通貨に簡単に素早く両替できます。
もし日本企業が米国から製品を輸入すると、米国の通貨、米ドルで代金を支払う必要があります。日本の輸入業者はFX市場で米ドルを調達して米国の輸出業者に支払います。
FXがなければ、なにかもっとややこしいことになるのでしょう。
以上は、FXが存在する表向きの理由です。
しかしFXの実体は、巨大な銀行やシンジケートやヘッジファンドが投機で利益を上げるための市場となっています。なにせ、FXの90%は投機筋による取引だといいますから。
米ドルがFXの王様
FXで取引される通貨のうち、85%程度は米ドル絡みの取引です。
ユーロ絡みは39%、日本円絡みは19%です。
米ドルが85%ということで、圧倒的に多く取引されていて、FXの中では王様みないなものです。
主要通貨ペアのほとんどが米ドル絡みの通貨ペアですから当然ですね。
世界の通貨の安定を担うIMF(国際通貨基金)という偉い人たちによると、各国の外貨準備率の62%は米ドルだそうです。世界中の国が、米ドルをたくさん保有しているってことです。
このことからも、FXトレーダーとしては、米ドルの動向に注意しておかなければいけないと分かります。
他にも米ドルに気を配るべき理由はたくさんあります。
- 米国経済が世界で一番大きい
- 米ドルが世界の正式な準備通貨である
- 米国には世界最大級の金融市場が集まっている(CME、NYSE、COMEX 等々…)
- 米国は政治的に安定している
- 米国の軍事力は世界No.1
- 米ドルは国際間の取引に最もよく使われる
例えば、原油は米ドル建てです。日本が中東から原油を買おうとすると米ドルで買わなければなりません。その時、もし米ドルを持っていなければ、まずは円を売り米ドルを買わなければならないのです。国際間で取引されるようなものはほとんど米ドル建てですから、米ドルって重要なのです。
FXの取引のほとんどは投機
私たちが旅行先で両替したり、輸出企業が海外での売り上げを円に換えるような場合の取引を実需筋なんて言います。
一方、純粋にお金儲けのために投機として取引するFXトレーダーを投機筋といいます。
で、その両者の比率はどれぐらいなのかというと、なんと9:1で投機筋の方が多いです。
FXにおける売買の90%は、買った値段よりも高く売り抜けたり、空売りした値段よりも安く買い戻して利益を上げようとする投機だということです。
投機マネーが90%なんていうと、なんだか印象が悪いですが、いいこともあります。投機マネーがFXの流動性を確保してくれている点です。
流動性とは、単純に言うと、その相場で売り買いしている人の多さです。
大きな売買をする人にとって、流動性の大きさはとても重要です。
流動性が低いと、自分の注文で値が不利な方に動いてしまうからです。
実需の売買をする人たち、たとえば輸出業者のトヨタ自動車なんかが巨額の米ドルを円に変えようとするとき、ほとんど値を動かすことなく両替を完了するには、投機マネーの流動性が不可欠なのではないでしょうか。
流動性が高いFXですが、いつも高いわけではありません。
時間帯や時期によっては流動性が落ちます。
その辺りのこともまた追々解説します。
いろんな方法でFXをトレードできる
FXは魅力的な市場なので、頭のいい人がいろんな取引ルートを作ってくれています。その中でも人気のあるのは、スポットFX、FX先物、FXのオプション、FXのETFです。
スポットFX
一般的にFXと呼ばれているのはこのスポットFXのことです。
その瞬間の為替レートで通貨を買ったり売ったりするマーケットです。
とにかくシンプルで、誰でも気軽に始められます。数千円で口座開設できる業者もあります。始めるのが簡単なだけで、稼ぐのは決して簡単ではありませんけどね。
FX先物
CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)ではFXの為替レートに連動した先物を取引できます。
取引所で取引される金融商品なので歩み値や板情報もあります。
公正な取引ができるのが強みです。
その分、スポットFXのような手軽さはありません。
手数料も割と高いですし、1ティックが1000円程度の取引からとなりますので
初心者にとっては気軽に始められるものではありません。
FXのオプション
オプションとは、特定の日に特定の金融商品を特定の価格で買う/売る権利を売買するものです。
FXのオプションは前述のCMEの他にもさまざまな業者がサービスを提供しています。
FXのETF
FX界ではETFは一番若い部類に入ります。
ETFとは資産を入れる器みたいなものです。
器にいろんな資産をいれて、株式市場に上場され、株と同じように取引できます。
その器に通貨を入れてしまおうという人もいるわけです。それがFXのETFです。
日本ではまだ上場されていないようですが、米国にはあります。
FXのように24時間取引できないこと、株を取引するのと同じように手数料が発生することから、普通にスポットFXを取引する方がよいのでは?とぼくなんかは思います。
さて、ここまでFXとはなんなのか?についてざっくりとお話ししてきました。
だんだんわかってきたのではないですか?
だんだんわかってきたところで、次は
誰がFXをトレードしているんでしょうか?というのを考えてみましょう。
コメントを残す