FXのファンダメンタルで最も重要な考え方に、リスクオン/リスクオフがあります。短期のFXトレーダーにも重要になってくるファンダメンタル要素です。このページでは、リスクオン/リスクオフについて、誰にでも理解しやすいよう、分かりやすく解説します。
2種類の通貨
いろんな通貨がありますが、大きく分けると、2種類の通貨があります。それは、ハイベータ通貨とセーフ・ヘイブン通貨です。
ハイベータ通貨
ハイベータ通貨とは、要するに値動きの激しい通貨のことです。ボラティリティ―が高い通貨とも言います。
世界中の投資家が楽観的な見通しを持っていて、株式市場がイケイケで上がっている時には、ハイベータ通貨も上がります。このような状況をリスクオンと言います。
逆に、それとは逆の状況をリスクオフといいます。
世界中の投資家が神経質になり、株式市場が売られて下落する時には、ハイベータ通貨も売られて下がります。
ですから、ハイベータ通貨は世界中の投資家が楽観的になっている状況、リスクオンの状況で上昇し、S&P500等の株価インデックスと同じような値動きをします。
ハイベータ通貨とは以下の通貨たちです。
- EUR
- GBP
- AUD
- NZD
- CAD
セーフ・ヘイブン通貨
セーフ・ヘイブン通貨は、ハイベータ通貨とは逆で、世界中の投資家が神経質/不安になって株式市場が下落するような状況(リスクオフの状況)に上昇します。
セーフ・ヘイブン通貨は、不安になった投資家が逃げ込む場所なのです。
世界の相場に影響を与えるような不安要素があると、不安な投資家達の間で、セーフ・ヘイブン通貨に資金を移動しておこうとする動きが起こります。
世界経済や政治問題が特に問題なく、株式市場も順調に上昇しているような時期(リスクオン)には、投資家は資金をセーフ・ヘイブン通貨に移動して隠れている必要を感じません。
ですから、そういうリスクオンの状況では、セーフヘイブン通貨は他の通貨と比べると上がりにくかったり、下がったりする場合が多くなります。
ところが、2008年~2009年の金融危機のような事態が起きると(リスクオフ)、投資家達は気が狂ったように株式市場から逃げ出し、セーフ・ヘイブン通貨に資金を移します。ですから、金融危機などの状況では、セーフ・ヘイブン通貨が猛烈に上昇するのです。
セーフ・ヘイブン通貨とは以下のような通貨です。
- USD
- JPY
- CHF
リスクオン
先ほどから触れていますが、リスクオンの相場環境についてまとめます。
リスクオンの相場環境では…
世界中の投資家が楽観的になり、イケイケで株を買います。そして大きなリスクを積極的にとっていきます。お金は国債から株式市場に移っていくので、株が上がります。だれもがいい気分になり、「株価はさらに2倍!」という雰囲気になります。
そのようなリスクオンの相場環境では、ハイベータ通貨が上昇し、逆にセーフ・ヘイブン通貨は売られます。
- 投資家が楽観的でイケイケになっている
- 大きなリスクを積極的にとる
- 資金が国債から株に移る
- ハイベータ通貨が上昇する
- セーフ・ヘイブン通貨が売られる
リスクオフ
リスクオフの相場環境はリスクオンの真逆です。
世界中の投資家たちは神経質で悲観的になり、リスクの高い投資や投機から撤退し始めます。そして資金は株式市場から国債市場に移ります。
そうなると、ハイベータ通貨は売られ、逆にセーフ・ヘイブン通貨は上昇します。
- 投資家は神経質で悲観的になる
- リスクの高い投資/投機からは撤退する
- 資金は株式市場から国債市場に移る
- ハイベータ通貨が売られる
- セーフ・ヘイブン通貨が上昇する
何がリスクオン/リスクオフに影響するのか
リスクオン/リスクオフという相場環境があるのですが、それらはどんな要因によって起こるのでしょうか。
リスクオン/リスクオフは、以下の要因によって、その状態になります。
- マクロ経済
- ミクロ経済
- 中央銀行の金融政策など
マクロ経済については、ファンダメンタル分析をFXトレーダー目線でやさしく解説してみた 世界経済編で解説しました。
マクロ経済の要因とは、
- 選挙や政治的決断
- 公的債務の問題
- 世界金融危機
- 自然災害
- 株式相場のトレンド
などです。
これらはそれぞれ、リスクオンにつながったり、リスクオフにつながったりします。
マクロ経済の影響について、常に覚えておきたいのは、FXの市場参加者は、「まず売って、後から考える」という行動をとるということです。
ミクロ経済の要因とは、個々の経済指標の発表のことです。雇用統計や、PMIなど、世界中で毎日発表される、個々の経済指標はリスクオン/リスクオフに影響を及ぼします。
中央銀行や政府の経済政策も、リスクオン、リスクオフに大きな影響を与えます。