前の記事では、ほとんどすべての瞬間で
相場の行方を予測した場合の勝率は35%~65%の間だということを話しました。
今日はこれから自分がエントリーするトレードの勝率は
どれぐらいになるのかを見極める方法についてお話しします。
それができないと、
利食いの値幅をどれぐらいにセットすればよいのかを決めらません。
ロスカットの位置は、直近の値動きによって決めます。
利食いできる場合にどこまで伸びそうなのか?も同じです。
期待できるリスクレワード比と勝率を考慮し
これからエントリーしようとしているトレードが
優位性のあるトレードなのかを見極めるスキルが求められます。
●今日の内容
・このエントリーに優位性があるか?
・勝率だけは自分で決められない
・期待できる勝率を見極める方法
・逆張りのエントリーで35%側につく場合の注意点
・順張りのエントリーで65%側につく場合の注意点
●このエントリーに優位性があるか?
あなたのエントリーに長期的に優位性があるかどうかを見極めるには
次のような計算をする必要があります。
優位性の計算です。
利食い幅 × 期待できる勝率
を計算し、その数値が
ロスカット幅 × 負ける確率
よりも大きければ、そのエントリーは長期的にみて勝てるエントリーだと言えます。
利食い幅 × 期待できる勝率 > ロスカット幅 × 負ける確率
になっていればよいということです。
この重要な計算に登場する要素は3つです。
・利食い幅
・ロスカット幅
・勝率と負け率
●勝率だけは自分で決められない
ロスカット幅は自分で決めれます。
エントリーの位置からロスカット注文を入れている位置までの値幅です。
利食い幅も自分で決めれます。
エントリーの位置から利食い注文を入れている位置までの値幅です。
しかし、勝率は決して自分では決めれません。
神のみぞ知るの世界です。
そこに大きな問題があります。
多くの人はリスクレワード比を意識してトレードしていると思います。
リスクレワード比が3倍になるようにロスカットと利食いをセットしましょう!
といったことがよく言われています。
しかし、期待できる勝率がどれぐらいになるのか?
を意識している人は少ないのではないでしょうか?
実は期待できる勝率を予測できることはかなり重要です。
期待できる勝率を自分なりに予測できないと、
今からエントリーしようとしているトレードに優位性があるかどうかが判断できません。
そもそも、どんな時もリスクレワード比3:1を実現できると考えるのは
かなり無理があります。
ロスカット幅の3倍の利益を期待できるエントリーと
そうでないエントリーというのがあります。
そうでないエントリーでも、
勝率次第では、最高のエントリーとなります。
●期待できる勝率を見極める方法
自分のエントリーの勝率を予測する方法があります。
ここではそのシンプルな考え方を紹介します。
基本的に、順張りのエントリーは勝率が高くなります。
一方で逆張りのエントリーは勝率が低くなります。
順張り 65%側につくエントリー
逆張り 35%側につくエントリー
最初のうちは、ざっくりとこのように考えてよいと思っています。
もちろんそれは相場環境にもよりますが、一般的な考え方はそうだということです。
トレンドには思ったよりも長く継続するという法則があります。
だから、トレンドに逆らう逆張りはどうしても勝率が低くなり、
トレンドに沿ったエントリーは勝率が高くなるのです。
●逆張りをして35%側につく場合の注意点
逆張りというのは、今出ているトレンドに逆らってエントリーすることです。
ですから勝率は低くなり、35%側についたと考えるのが妥当です。
相場観が優れていたり、エントリーシグナルを厳選したとしても
勝率50%を超える事はできないと思っておく方が無難です。
勝率が35%だとしたら、優位性を持つにはどのくらいのリスクレワード比が必用でしょうか?
リスクレワード比が1:1だと長期的には確実に負けてしまいます。
1万円(利食い幅) × 0.35(勝率) = 3500円
1万円(ロスカット幅) × 0.65(負ける確率) = 6500円
3500 - 6500円 = -3000円
優位性の計算が-3000円となりますから、やればやるほど負ける優位性の無いトレードです。
2:1だとどうでしょうか。
2万円(利食い幅) × 0.35(勝率) = 7500円
1万円(ロスカット幅) × 0.65(負ける確率) = 6500円
7500円 - 6500円 = 1000円
優位性の計算で+1000円となるので、長期的に勝てる、優位性のあるトレードになります。
勝率35%が期待できる逆張りだと、リスクレワード比は最低でも2:1は必要というのが分かります。
逆張りでエントリーするということは、大底や天井を捉えるということです。
もし正解であれば、かなり良い価格でエントリーできたということになります。
ですから、リスクレワード比2倍よりも多く取れることが多くなります。
しかし多くの人は、トレンドに逆らっている恐怖心から、
リスクレワード比1:1程度で逃げるように利食いしてしまうことが多いように思います。
しかし逆張りというのは、
期待できる勝率が低く、期待できる利益が大きいトレードなので
利益をある程度伸ばさなければいけません。
恐怖という感情に流されず、優位性のあるトレードを
しなければなりません。
●順張りのエントリーで65%側につく場合の注意点
順張りとは、強い上昇が始まったのを確認してから買うようなエントリーのことです。
トレンドは思ったよりも長く継続するという性質がありますから、
順張りの勝率は比較的高くなり、65%ぐらいが期待できます。
しかし欠点は、「上昇したこと」を確認してから買っているので、
ロスカットまでの値幅が広くなってしまうこと
そして、すでに上げてしまっているぶん利食いの値幅が狭くなってしまうことです。
ロスカット幅が広くなり、利食い幅が狭くなるということは、
リスクレワード比が悪くなるということです。
しかし、トレンドは思ったよりも継続するという法則が働くので
それを補うだけの勝率が期待できます。
リスクレワード比が悪くても
優位性のあるトレードにすることができます。
どんな時もリスクレワード比は
3:1や2:1ぐらいないとダメだ思っているかもしれません。
しかし実際には、強いブレークアウトが起きている状況など
特別な状況下では高い勝率が期待できるので
リスクレワード比1:1でも利益になります。
特別な状況とは、買い占めや売り抜けの値動きが起きた後のブレークアウトのことです。
底値でしばらく大口の買い占めの兆候があったあとに
強い上昇のブレークアウトが起きたような場合は
ある程度上がったのを確認してからエントリーしても
まださらに上がる確率が高くなります。
メール講座の特典に付けたブレークアウトの手法がその例です。
勝率65%の順張りエントリーについて、優位性の計算をしてみましょう。
1万円(利食い幅) × 0.65(勝率) = 6500円
1万円(ロスカット幅) × 0.35(負ける確率) = 3500円
6500 - 3500円 = +3000円
このように、勝率65%が期待できるよなエントリーの場合、
リスクレワード比が1:1でも十分に優位性のあるトレードになります。
強いブレークアウトが起きている場合には、既にかなり上げてしまっているので
多くの人がエントリーを躊躇してしまいます。
しかしこのリスクレワードの計算ができる人は、
ロスカット幅が広いぶんエントリーする枚数を減らして迷わずエントリーします。
これができるようになると、かなり上級者になったと言えるでしょう。
●実践では
実践では単純に35%か65%のどちらかということではなく、
相場環境や売買シグナルの強さによって、勝率の予測を調整します。
例えば、逆張りをする場合には基本的には35%の勝率ですが、
強い買いのシグナルが出ているのであれば、勝率45%と想定して
トレードする場合もあります。
トレードにおいて大切なことは、
自分なりの根拠に基づいて理にかなったトレードをすることです。
それが結果的には完全に間違っていたとしても構いません。
しっかりとしたノウハウを持っている人が
利にかなった行動をし続ければ、長期的には報われます。
利にかなった行動を躊躇なく行うことができる人は、
経験を積めば積むほど相場観が良くなり
トレードの成績は必ず上がっていきます。
●今日のまとめ
利食い幅 × 期待できる勝率 が
ロスカット幅 × 負ける確率 よりも大きければ
そのトレードには優位性があるということ。
ロスカット幅は自分で決めることができる。(エントリーからロスカット注文までの距離)
利食い幅も自分で決めることができる。(エントリーから利食い注文までの距離)
しかし、勝率だけは自分で決めることができない。
トレンドには「思ったよりも長く継続する」という性質がある。
よって、トレンドに逆らう逆張りの勝率は低くなる。
逆に、トレンドに沿ったエントリーは勝率が高くなる。
逆張りエントリーをする場合には、
勝率が低くなるので、
少なくともリスクレワード比2:1以上を狙わないと
長期的には勝てない。
順張りの場合、リスクレワード比1:1でも優位性のあるエントリーになる。
ただし、ロスカット幅が広くなるので
ポジションサイズを減らしてエントリーする必要がある。
実践では、エントリーシグナルの強さなどにより
勝率の予測値を調整して狙うリスクレワード比を決める。