トレード日誌をつけ始め
自分の成績を詳細に把握できるようになると
「もっと勝率を上げたい」
と思うようになります。
成績を上げようと努力することは素晴らしいことです。
しかし、勝率を上げることばかりに意識が集中してしまうのは問題です。
ある程度までは勝率を追及しても良いですが、
度を超えると恐ろしい落とし穴にはまってしまいます。
今日の内容
・何が起きるか分からないから面白い
・勝率35%~65%の法則
・期待できる勝率を把握しておく
勝率35%~65%ってなんでしょうか。
それが分かれば、あなたはトレーダーとして
やるべきことが見えてきます。
●何が起きるか分からないから面白い
トレーダーとして成功したいなら、
相場の不確実性、つまり「相場で次に何が起きるかはわからない」
ということを心の底から理解する必要があります。
そしてそのことを心の底から受け入れなければいけません。
トレードメンタルについて学ばれた方は、
「またその話か!」と思うかもしれませんが、
これをなめてかかってはいけません。
もしあなたが勝率80%や90%を求めて
トレード手法をとっかえひっかえしているなら、
おそらくあなたは大きな落とし穴にはまっています。
●35%~65%の法則
デイトレードであれ、スイングトレードでれ、長期のトレードであれ
相場の行方を言い当てようとしたときの正解率は
35%~65%ぐらいになります。
どんなに優秀なトレーダーが予測したとしても
その正解率が長期的に65%を超える事はめったにありません。
逆に言うと、どんなに下手な人が頑張って「予想を外そう」としても
少なくとも35%ぐらいの確率で当たってしまいます。
トレードを学び始めた人がはまってしまう落とし穴は、
次に何が起きるかを80%や90%という高い確率で
予測できる方法があるはずだと思ってしまうことです。
例えば、10個のテクニカル指標を表示し
全てが同じ方向のシグナルを発する瞬間には勝率が80%ぐらいまで高まるのでは!
といった勘違いをしてしまうことです。
かつてFRBのグリーンスパン議長が言った言葉があります。
「私は70%ぐらいの確率で為替相場の行方を言い当てることができる。
そのことを誇りに思っている」
FRBの議長ですら、相場の行方を正しく言い当てれる確率は70%にすぎないのです。
我々のような一般のトレーダーにそれ以上のことができると思いますか?
もちろん、グリーンスパン氏は長期的な方向性のことを言ったのであり
デイトレードやスキャルピングの短期予測のことではないでしょうが
どんな時間軸であっても共通することだと思います。
FXや225先物などの相場はとてつもなく大きな市場です。
特にFXは桁外れに大きな市場です。
そこではたくさんの大口トレーダーがトレードしています。
たった1つの機関投資家が相場をコントロールしているのではなく、
複数の大口勢力がしのぎを削っています。
ある瞬間にAという大口の機関投資家が買いポジションを建てようとしたら、
売り側にそれと同じぐらいの大口投資家がいなければ約定できません。
相場が動く時には、かならず大口が関わっています。
そして全ての瞬間、買いと売りの両側に有力な大口がついています。
メリルリンチが買っているときに、
ジョージ・ソロスのファンドが売っているというようなことです。
そして彼らはどちらも、長期的には勝っています。
どちらかの方向に進む確率が90%もあるポイントがあったら、
いったい誰がその反対側につこうとするでしょうか?
そこから上げる確率が90%のポイントにいて、
メリルリンチが巨大な買いポジションを建てようとしているとします。
そんな場合に一体どこの大口トレーダーが売るでしょうか。
何も知らない一般投資家が売るかもしれませんが、
それではメリルリンチの巨大な買い注文を満たせません。
どちらに進むかは35%~65%ぐらいの確率だからこそ
両サイドに大口トレーダーがいて、売買が成立するんだと思います。
ですから、どんなに強力な売買シグナルが出たとしても、
その先に上がるか下がるかは35%~65%の確率に
なるはずだ思っておいてください。
●建玉法や利食い/損切りのスキルが重要
35%~65%といっても幅がありますよね。
35%側と65%側とでは全く違います。
65%の確率で上がるポイントで誰かが買ったとすると
売った人の勝率は35%になるはずです。
勝率35%側の、勝率的に不利な方向についた大口トレーダーは
どうするのでしょうか。
実は勝率35%側も、長期的には利益を上げることができます。
優秀なトレーダーは確率論で物事を考えます。
そして建玉法やリスクレワード比を調整し勝率35%のエントリーでも
長期的に見ると利益になるエントリーにしてしまいます。
勝率35%側のエントリーは勝率的には不利ですが、
リスクレワード的には有利という場合が多くあります。
違う言い方をすると、
ロスカット幅に対して取れる利益の幅が大きいエントリーは
勝率が低く、35%~45%ぐらいということが多いはずです。
逆に65%側につくのが圧倒的に有利だと思うかもしれませんが、
その場合には、見込める利益幅が狭く
ロスカット幅が広くなる場合が多くあります。
大抵の場合、どちらが有利ということではなく
リスクレワード比との兼ね合いで考えると
どっちもどっちであることが多いのです。
どっち側についても勝てるということです。
勝てないのは、自分がどちら側についたのかを
分かっていないトレーダーです。
●期待できる勝率を把握しておく
トレードで安定して勝つために重要なことは
自分が勝率の低い側と高い側のどちらについているのかを
常に把握しておくということです。
エントリーをする際にリスクレワード比を気にする人は多いですが
そのエントリーで期待できる勝率がどのくらいなのかを意識できている人は
少ないのではないでしょぅか。
期待できる勝率が分からないと
どの程度のリスクレワード比の設定にすればよいのかがわかりません。
リスクレワード比とは
期待できる利益金額と、損切になった場合に被る損失額の比率のことです。
期待できる利益金額が2万円で、ロスカットの値幅が1万円なら
リスクレワード比は2:1となります。
勝率65%側についたならリスクレワード1:1でも利益になります。
勝率35%側についたのであれば、リスクレワード比1:1では勝てません。
じゃあ、いつもリスクレワード比3:1でトレードすればイイじゃないか!
と思うかもしれません。
それができるなら簡単ですが
いつもリスクレワード比3:1を期待できるわけではありません。
サポートラインやレジスタンスラインの位置関係から
1:1程度のリスクレワード比しか期待できない場合が多々あります。
リスクレワード比が1:1ならトレードを見送るべきか?
と思うかもしれませんが、勝率が65%あるなら
期待値の高いエントリーなので、エントリーすべきです。
・期待できるリスクレワード比
・期待できる勝率
その両方を意識してトレードをしなければならない
ということを覚えておいてください。
35%側についても、65%側についても、
建玉法やロスカットの上手さで、期待値がプラスのエントリーにしてしまう
それが勝ち組トレーダーの特徴です。
私たち一般投資家も、安定して勝ちたいなら
大口トレーダーと同じ考え方でトレードすべきです。
トレードの実力がある程度ついてきたら、
エントリーの精度ばかりを追い求めるのは止め
建玉法や利食いと損切りのスキルを上げる方向に
努力してください。
その具体的な方法は、次回の講義から解説していきます。
●今日のまとめ
ある一定のレベルを超えると、
エントリーの勝率を上げることで利益を上げようとしても
その努力は無駄に終わる。
ほとんどの場合、勝率は35%~65%の間になる。
大切なのは勝率を上げることよりも
期待できる勝率がどれ位なのかを把握すること
そして適切なリスクレワード比の設定でトレードすること。
それでは今日はここまでにします。